三重県の老舗畳店が作る「赤ちゃんに優しい畳」が静かな人気を呼んでいる。5年前に商品化されてから口コミやSNSなどでじわじわと評判が広まり、現在は手作りにもかかわらず年間300枚が売れるまでになった。

 販売しているのは三重県四日市市の石川畳店。従業員は社長やベテラン職人を含めて、わずか3人の小さな店だ。畳の材料となるイグサは約90%が中国などの外国産だが、赤ちゃんに優しい畳は完全無農薬の国産イグサを使っているのが特徴。「無農薬イグサだけで作る畳は、おそらく当店の商品だけ」と、店主の石川淳二氏は語る。同店は大正元年創業で、淳二氏は4代目にあたる。

石川畳店の「赤ちゃんに優しい畳」。完全無農薬の国産イグサを使っているのが特徴だ
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 無農薬だからといって、普通の人が外国産のイグサとの色や香り、感触の違いを判別できるわけではない。だが、アトピー性皮膚炎に悩む子どもを持つ親から見れば、子どもを安心して寝かせられるという点が大きな付加価値になる。アトピーやアレルギーに悩む子どもの親や祖父母が次々に購入していくという。

 違いは無農薬だけではない。畳表と底板の間のクッションには木屑を固めた一般的な素材ではなく、柔らかなクッション材を詰めることで、赤ちゃんや幼児が倒れた際の衝撃を吸収しやすくしてある。畳縁(へり)には子どもが好むカラフルな色や動物柄など約1000種から自由に選べる工夫も施している。こうした特徴が徐々に知られるようになり、安全性の高い建材を求める消費者からも注文が寄せられるようになった。