この記事は「日経デザイン 4月号」(2014年3月24日発売)から転載したものです。内容は基本的に執筆時点のものとなります。

 映像制作やデザイン業務などに使う、プロ向けのワークステーションとして発売されたMac Pro。黒く輝く円筒形のデザインを実現するために、どのような革新的技術を取り入れたのか。その秘密を探る。

米アップルのワークステーション「Mac Pro」。分解したのは3.7GHzクアッドコアモデルで、30万3619円(税抜き)

 エントリーモデルで税抜きの価格が30万3619円から、というアップルのワークステーション「Mac Pro」。同社が販売するコンピューターの中でも最上位機種に当たる高額商品だ。

 ハイエンドなのは、4K映像の制作にも使えるとうたう性能面だけではない。本体そのもののプロダクトデザイン面でも贅を尽くした作りになっていた。それは、今回分解に協力してくれた工業デザイナーの山中俊治・東京大学教授が「まるで工芸品」と表するほど。精緻で美しいデザインは、もはや従来のコンピューターの域を超えていた。

深絞りは不要

 梱包されていた箱を開けて本体を取り出すと、透明の樹脂シートに包まれたMac Proが姿を現す。シートを取り除くと見えるのが、つややかに磨き込まれた黒いアルミのボディーだ。

開封も楽しく
きょう体の表面を傷付けないように、購入時には保護用のフィルムが張られている。ぴりぴりとした感覚が楽しく、このフィルムをはがす行為そのものを特別な体験に仕立てている
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 アップルが公表している情報や金属加工に詳しい技術者の分析によれば、このボディーの作り方は以下の通り。インパクトプレス成形と呼ばれる加工法で、アルミ素材の塊からかなり厚めの鍋状の形状を作る。このボディーの内側と外側を削り込んで、厚みがおよそ4ミリの真円の筒状ボディーを作り、鏡面にするため磨きをかける。表面は黒色のアルマイト処理を行ったうえで、さらにバフ研磨で磨き込むことでさらなる光沢を出していると考えられる。