「バッドノウハウ」との批判

 一見すると便利に見えるExcel方眼紙ですが、「やってはいけない悪弊」「絶対にやめてくれ」といった激しい批判もあります。2013年5月に「日経ウーマンオンライン」がこのテクニックを紹介したところ、ネット上で“炎上”ともいえる騒ぎになりました。

 批判の理由は、「表計算ソフトのExcelを、文書作成やレイアウトの道具に使うのはおかしい」という単純なレベルのものではありません。Excel方眼紙は、「ITによる業務効率化や生産性向上に、大きな弊害をもたらす」というのです。

 身近なところから言うと、Excel方眼紙で作り込まれたワークシートは、一度完成してしまうと、後からの修正や変更に手間が掛かります。もちろん作成した本人なら、自分のテクニックを駆使して更新していくことは可能でしょう。

 しかし、職場で「ひな型」のように使われる書類の場合、それを引き継いだ後任者は大変です。どのようにレイアウトを調整すればよいのか、どこを触ってはダメなのか、試行錯誤を繰り返した上で、結局イチから作り直す必要が生じてしまうこともあります。

 これは、独自に作り込まれたExcelシート全般に言えることですが、Excel方眼紙という独特のテクニックは、シートの引き継ぎが特に難しいものでしょう。

 さらに、Excelシートを「データ」として活用したいとき、Excel方眼紙では困難を極めます。Excelをデータベース的に利用することは少なくありませんが、その場合、データは「1行に1件、1列に1項目」が大原則です。

 ところが、Excel方眼紙ではこの大原則が無視されるため、並べ替え/検索/抽出といった基本的なデータ整理・分析にも支障をきたします。ましてや、他のアプリケーションや業務システムで読み込んで連携させるといった使い方を考えると、システムエンジニアにとっては悪夢です。数値の桁を揃えるために、Excel方眼紙に1桁ずつ数字を入れているシートをまれに見かけますが、そこまでいくと、数値データの意味を完全に殺していることになるでしょう。

 実務に即した有効なExcel活用法を指導する一般社団法人実践ワークシート協会でも、Excel方眼紙は「百害あって一利なし」と断じています(画面2)。

画面2●一般社団法人実践ワークシート協会のWebサイト。Excel活用に関する5原則の一つとして「エクセル方眼紙は百害あって一利なし」と掲げる
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