2014年も数々の大作が控えている原作が漫画の実写映画作品。3月7日公開の『銀の匙 Silver Spoon』、夏公開の『ホットロード』、12月公開の『寄生獣』(12月にPART1、2015年にPART2が公開)などは、いずれもコミックス単巻平均100万部を超えるメガヒット作品が原作だ。

 しかしこうした映画化、原作のファンからしてみれば必ずしも大歓迎というわけではないのが正直なところ。「ストーリーの大事なとこ削られてない?」「そのキャストで合ってる?」「あれCGでなんとかなるの?」など、原作という絶対的な基準があるために、期待よりも「ちゃんと再現できているのか?」という不安が先に立ってしまうのだ。

 基本的に漫画ファンは実写化に対してネガティブなのである。

 では賛否両論を生む原因は何か。実写化でヒットするためのポイントはあるのか。近年公開された作品を振り返りながら、今後公開される作品について考えていきたい。

キャラクター、映像の再限度が問われる

 賛否両論を生む原因だが、まず“原作ファンの熱量の高さ”が挙げられるだろう。熱心なファンほど、自分の好きな作品の扱われ方に対して敏感なものだ。

 ファンから特に厳しい目を向けられるのがキャラクター。特に、物語の枠を超えてキャラクター単体で愛されているような作品は、キャラクターの再現度ひとつで評価が大きく変わる。ルックスはもちろん、話し方や仕草、佇まいなどを含めどれだけ再現しているか。キャスティングのセンスが問われる部分だ。

 また、映像面も重要。原作の世界観がちゃんと映像で再現されていなければ、そもそも物語に入り込めない。現代劇ならまだしも、SF・ファンタジー的な世界観である場合は特に大事な部分で、超能力、アクロバティックなアクション、異形の生物などの要素が加わるとさらにハードルが上がる。

『るろうに剣心』は賛否両論に打ち勝ったか?

 例えば、2012年に公開された『るろうに剣心』。原作は、明治初期の日本を舞台に、凄腕の剣客である主人公・緋村剣心の戦いを描いた剣戟(けんげき)アクションだ。週刊少年ジャンプ連載の少年漫画らしい必殺技が飛び交うバトル、美しい絵柄で描かれる個性的なキャラクターなどで、性別を問わず人気を集め、累計発行部数は5800万部超を誇る超人気作として知られる。

 原作ファンの熱量は高く、キャラクター人気が抜群で、超常的なアクションもある。実写化するには実にハードルが高い作品であり、映画化発表時から大反響となり、原作ファンの間でやはり賛否両論が巻き起こった。

 しかしこの作品、興収ランキングでは同時期公開のリドリー・スコット監督によるハリウッドSF映画『プロメテウス』などを抑えて、初登場1位を獲得。最終興収は30.1億円と商業的には大成功を収め、2014年夏には続編『るろうに剣心 京都大火編』(8月)、『るろうに剣心 伝説の最期編』(9月)の公開が決定している。

 評価されたのは、緋村剣心役・佐藤健の熱演とスピード感あるアクション。物語は初期のストーリーをベースにしているが、重要キャラクターである四乃森蒼紫(しのもりあおし)が登場しないなどアレンジ部分も多く、その点については原作ファンから否定的な意見も見られた。ただ、全体としては初期の名エピソードである鵜堂刃衛(うどうじんえ)との戦いと武田観柳との戦いを組み合わせ、剣心の宿敵のひとり・斎藤一も絡ませたいいとこ取りな構成になっており、1本の映画として楽しめる作品になっている。

 賛否両論を生みつつも、良作としてしっかり作り上げた好例といえるだろう。