2010年代を“READ&LEAD”するために

 2010年代以降に顕著なことだが、読書会のみならず、コミュニティ(場作り)への世間の関心は相変わらず高い。読者のみなさんも仕事や趣味の領域で何らかの“コミュニティ”に関わっている方が多いのではないだろうか。私が講師を務める大学でもこの春から「コミュニティデザイン学科」というコースが開設されるが、たしかにビジネスとして場作りに携わる人も多くなってきた。

 企業がファン作りの一環としてコミュニティを立ち上げるプロジェクトも増え始めた感がある。企業が情報提供(宣伝)だけに終始せず、交流の場を提供することで顧客とより強く結びつくことができるのでは、という戦略的発想がその根底にある。これは世界的トレンドであり、海外の広告フェスティバルで紹介される事例でもここ数年はそういったものが極めて目立つ。

 日本ではコミュニティという言葉が1970年代にブームになり、定着したという。全国の地域や団地に集会場などの施設がたくさん誕生した時代だ。しかし、いま流行りのコミュニティはハード(施設)ではなくソフト(多様な中身と関係性)を意味する。

 90年代から再三いわれてきたことだが、やはり「モノからコトへ」のシフト、そして、そのコトの周辺で交流をいかに生み出すかがカギといえそうだ。逆にいうなら、“交わりにハマる(あるいは交わりの原動力になる)商品”はヒットしやすいといえる。2013年「踊ってみた」の大ブームを巻き起こした「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)がその最も分かりやすい事例だが、この法則は音楽コンテンツだけに当てはまる話ではない。

 いまに限らず、人は誰でも家族や会社、サークル、地域社会など複数のコミュニティに所属している。だから「コミュニティがブーム」という言い方自体が不思議なものだ。しかし、従来とは違う形で多様な人と人、人と集団のつながりを深めたいというマインドが高まっているのは事実。そしていまはそれを洗練させていく段階ではないだろうか。

(文/河尻亨一=銀河ライター・東北芸工大客員教授)