この記事は「日経トレンディ」2014年1月号(2013年12月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 自転車は最も身近な乗り物だが、そのぶん事故も多い。1億円近い損害賠償を命じられる事例も相次いでいる。12月から施行された改正道路交通法を知ると同時に、「万が一」に備える方策を探る。

 2013年6月に公布された改正道路交通法が12月1日から施行された。

 自転車に乗るすべての人が知っておくべきことは、車道の端にある路側帯を走るとき右側通行が禁止になったことだ。違反すれば3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金を科される。

 他に、警察官が、基準に適合しないブレーキの自転車を検査するよう命じたり、違反行為を繰り返す運転者に講習の受講を命じられるようにもなる。これらに応じない場合も5万円以下の罰金になる。

 今回の改正のきっかけになったのが、11年に警察庁が出した「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達だ。自転車が歩道を走っている今の状態から脱し、新しい走行ルールを整備すると宣言するもの。最終的には「自転車は車両であり車道を走る」ことを目指し、法律だけでなく環境整備も行う。「自転車は車両として左側通行が当然。路側帯での禁止だけでは不十分だが、一歩前進した」(特定非営利活動法人・自転車活用推進研究会の小林成基理事長)。

 それでは今後、車道を右側通行すると、警察官に検挙されて罰金を払うことになるのだろうか。

 東京都内で自転車対策を担当する警視庁犯罪抑止対策本部自転車総合対策担当管理官の櫻井文博警視によれば、自転車走行で検挙されるのは、主に悪質なものや命にかかわる違反だ。13年1~9月の取り締まり件数1484件のうち最も多いのは、遮断機が下りかけている踏切を突っ切ろうとする遮断踏切立ち入り。次いで信号無視、ブレーキ不良運転だった。1度だけの右側通行ならば、警察官からの口頭の注意にとどまるとみられる。そもそも、新しいルールの浸透には時間がかかる。当面はルールの周知に力を注ぐ考えだ。

 とはいえ「自転車は車両の一つ。自分勝手な解釈でルールを誤解したり、正しいルールを知らないのは言い訳にはならない」(櫻井氏)。警視庁では今後、大人向けの交通安全教育を増やす検討を行っている。

【現行】自転車は車道を走るのが原則
歩道では徐行、車道側に寄る
 歩道では徐行しつつ、車道側に寄るのが基本の走行ルール。しかし、実際は多くの自転車が徐行せずに走っている。歩道や路側帯は交互通行も可能なため、歩行者と自転車が混在してトラブルになることも多かった。
【新】2013年12月~
路側帯は必ず左側通行
(歩道でのルールは以前と同じ)
 歩道のない道路で、白線で車道と隔てた道路の端が路側帯。路側帯も歩行者が通るので、自転車は徐行が原則だ。自転車が路側帯を通行する際は、左側通行のみに変更された。違反すると5万円以下の罰金が付く。
13年12月~
ブレーキ不良の場合、自転車を警察官が検査
 基準に適合したブレーキを備えていない自転車を検査し、整備を命じることが可能に。命令に違反すると5万円以下の罰金。
15年6月までに施行
違反を繰り返すと、運転講習の受講命令
 違反行為を繰り返す運転者には講習の受講を命令できるように。一定期間内に受講しなかった場合は5万円以下の罰金。