アップルは2013年12月17日、iTunes Storeで入手できる各種コンテンツのなかから、スタッフが推薦するものを「BEST OF 2013 今年のベスト」として発表した。iTunesからiTunes Storeにアクセスすると参照できる。iPhoneやiPad用のベストアプリとして選出された作品のなかから、革新的な内容が評価された2つのアプリの開発者に話を聞いた。

iTunes Storeにて、スタッフが推薦するアプリや電子書籍、音楽などのコンテンツが「BEST OF 2013 今年のベスト」として公開された
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iPadのインカメラだけで高度なモーショントラッキングを実現した「GO DANCE」

GO DANCEの開発を統轄した、セガネットワークス 事業本部長の岩城 農氏
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 iPad用のベストゲームアプリとして選出されたのは、セガネットワークスが2013年9月にリリースした「GO DANCE」(200円)。画面に現れる人物のグラフィックスに合わせて、実際にプレーヤーが踊って楽しむ体感型のダンスゲームだ。

 家庭用ゲーム機で体感型のゲームを遊ぶ際は、人物の動きを検出するモーションセンサーを内蔵したコントローラー(任天堂の「Wiiリモコン」など)や、カメラを内蔵したセンサーユニット(マイクロソフトの「Kinect」など)といった機器が必要になる。GO DANCEで特徴的なのが、iPadの前面に搭載されているインカメラ(FaceTimeカメラ)を利用して人物の動きを認識し、得た情報をゲームで利用するという点だ。特別なアクセサリーは必要なく、アプリを購入すれば誰でもすぐに楽しめる。

GO DANCEは、iPadを横向きに立てた状態で、画面を見ながら軽快にダンスを楽しむ仕組み。照明で照らされた室内だけでなく、直射日光が差し込む明るい屋外でも人間の動きをしっかり認識できるという
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Apple TVのミラーリング機能を利用すれば、テレビの大画面で楽しめる。表示の遅延は無視できるレベルにとどまっているうえ、音声はステレオで大音量なので、タブレット単体よりも迫力も楽しさも格段に増す
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 開発を担当したセガネットワークスの岩城 農氏は「海外では、ダンスというカルチャーが身近な存在で親しまれている。日本でも、学校教育にダンスが加わったこともあり、ダンスの楽しさをゲームを利用してもっと身近に味わえないか模索していた。家庭用ゲーム機を使わなくても楽しめないかと考えて着目したのが、iPadとFaceTimeカメラを利用することだ」という。

 GO DANCEで採用しているモーショントラッキングは、FaceTimeカメラでプレーヤーの上半身を撮影し、頭や肩、手、ひじなど9カ所の動きを秒13~15コマ前後で追い続けることで、プレーヤーの動きを取得する仕組みだ。監視カメラなどの画像解析技術に優れるイスラエルの企業と提携して開発を進め、2次元の画像しか捕らえられないFaceTimeカメラのみで高精度なモーショントラッキングが可能になったという。大人だけでなく子どもにも対応でき、プレー中に人が後ろを通っても影響がないように仕上げた。

FaceTimeカメラで人間の上半身を撮影し、白い点で示された9カ所の動きを絶えず追い続けることで、人間の動きを検出する仕組みだ
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 岩城氏は、高速のA7チップと暗所にも強いFaceTimeカメラを搭載し、ゲームがストレスなく思う存分楽しめるiPad Airのゲームデバイスとしての完成度を高く評価する。しかし、「動作対象を最新のiPadに限定すれば開発するのはラクだが、そうすると多くのユーザーに楽しんでもらえない」と考え、動作対象を3世代前のiPad 2にまで拡大。機種ごとの性能差が存在することは分かっていたので、「昔の機種でも問題なく遊べるが、最新機種ならばより気持ちよく楽しめる」チューニングにしたと語る。

 ゲームバランスの点では、スコアやタイミングを気にしてギシギシしながら遊ぶのではなく、みんなで集まって楽しめる“ゆるい”ゲームを目指したという。岩城氏は「GO DANCEはタイミングではなく、形が重要。何回も練習してカッコよくダンスできるとサマになり、プレーしている人も周りで見ている人も楽しくなる」と語る。

GO DANCEの画面。基本的に、中央の人物に合わせてダンスをしていけばよい。右下から中央に向かってポーズをかたどった人のアイコンが流れてくるので、紫色の部分に来た段階で同じポーズをしていれば点数が入る
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日本のロックバンド「MAN WITH A MISSION」(MWAM)をはじめ、国内外の著名アーティストの楽曲を採用。アーティストは現在は16~17組ほどだが、今後も積極的に増やしていくという
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プレー後にはスコアや評価が表示される。だが、ひたすらスコアを競うのではなく、ダンスを楽しむというのがGO DANCEのコンセプトだという
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初期搭載の曲データは4曲用意されている
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アプリ内からさまざまな曲データやアバターなどが購入できる
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 アップル側との協力で、新しい試みも盛り込まれている。GO DANCEの曲データを購入すると、iTunes Storeのプロモーションコードが付いており、ゲームで使われている楽曲が無料で入手できる仕組みだ。お気に入りの曲がゲームの外でも楽しめるので、ユーザー側のメリットは大きい。楽曲が気に入ってアーティストのファンになってくれれば、別の楽曲も追加で購入してくれるというアップル側の狙いもある。

 今回アワードを獲得したことについて、岩城氏は「GO DANCEでこれまでにない新しい遊びをiPadで提案でき、プレーヤーに「ワオ!」と驚きと楽しさを与えられたことを評価してもらったと思う。GO DANCEは、さまざまなチャレンジが詰まった作品。チャレンジというのは不安だらけだが、今回のアワード獲得でさらにアクセルを踏み込み、これまでにない意欲的な作品を作っていきたい」と、今後の抱負を述べた。

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