2013年、日本の夏は猛暑となり、ゲリラ豪雨が多く発生した。日本自動車連盟(JAF)の広報・根木美香子氏によると、クルマが冠水・水没したことによるロードサービス救援の件数は今年6月には全国で37件だったが、7月に174件、8月に294件と急増。7月には東京の世田谷、8月には名古屋市内や大阪の梅田など都市部での被害が大きかったことも今年の特徴だという。

 つい先日も、大型の台風18号が日本列島を襲い、多くの水害をもたらしたことは記憶に新しい。またいつこうした災害が襲ってくるかはわからない。

 クルマで走行中に大型台風やゲリラ豪雨に遭遇した場合、いったいどんな状況になるのだろうか?

 JAFによると冠水での救援場所は路上が最も多い。ほとんどは、まるで川のようになった路上を走行した場合に起きたトラブルだという。エンジンに水が入って止まったり、水没して見えない溝などにはまって動けなくなるのだという。JAFでは、プロのスタントマンと共に非常事態を想定したさまざまな実験を実施、その映像を公式サイトで公開し、ドライバーに注意を呼びかけている。クルマが水没して動けなくなった場合、ドライバーは一体何をすればいいのか。注意すべき点を根木氏に聞いた。

アンダーパスが冠水! クルマは走り切れるのか?

JAFによる冠水路の走行実験より
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 JAFが行った、60cmの深さまで水没したアンダーパス(水平部分は30m)を通り抜ける実験では、セダンタイプとSUVタイプの2車種ともコースを走りきることができなかった。停止の原因はエアインテーク(空気の取り入れ口)を通してエンジン内部に水が入ったことが考えられるという。また、時速10km、30kmで走行し、それぞれを比較してみると、同じ水深でも速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水がさらに入りやすくなることが分かった。

 「ただし、ゆっくり走行すれば安全ということではなく、たとえ時速10kmでもエンジン停止はありえます。また見た目よりも深い場合や、水の中に障害物があることも考えられるので、冠水路には安易に入らないということを常に心がけてほしいですね」と根木氏は話す。

冠水路で停止! 動けなくなった車中で水かさが増してきた場合はどうなる?

日本自動車連盟(JAF)による増水時の水没実験より
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 ゲリラ豪雨のニュースでは、「あっという間に水かさが増した」という声をよく聞く。豪雨の中、冠水路などで動けなくなった場合、車中はどんな状況になるのだろうか? JAFではセダンタイプが冠水路で立ち往生した場合を想定し、「ドアやパワーウインドーがどこまで正常に作動するか」を検証する実験を行っている。

 これによると、水深70cmでヘッドライトや後席のパワーウインドウの誤作動などが発生するものの、水深80cmまでは、ドアの開閉は可能で、運転席のパワーウインドーも正常に作動。しかし、水深90cmになると車内にもかなり水が入り込み、腰まで浸かるほどになる。力を入れればまだドアは開くが、この段階でパワーウインドーは作動しなくなった。水深110cmになると、ボンネットも水に浸かり、車内の水位はドライバーの首近くまで到達。ドアの開閉にはかなり強い力が必要になる。実験では最終的に水位130cmでもなんとか自力でドアを開けて脱出することができた。

 しかし、実際の現場では叩きつける雨の轟音に包まれるなか、濁った泥水が押し寄せてくることもある。冷静な判断は難しいに違いない。一刻も早い脱出がカギとなりそうだ。

JAFによる冠水路の走行実験より
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