2013年8月3~4日にわたって福島県の2会場を中心に開催された、30時間でゲームを作り上げるイベント「福島GameJam」。ゲームの開発を通じてITに関する技術を学ぶこのイベントが、東日本大震災の被災地である福島で開催され続けているのには、どのような理由があるのだろうか? また、このイベントは福島にどんな影響をもたらしたのだろうか? 関係者への取材を通じて追った。

福島を中心に、ITの人材と産業を育成する取り組みが進められる

 “ゲームジャム”とは、さまざまなスキルを持つ数人が即席でチームを組み、短い時間で1つのゲームを作り上げることで、共同作業によるゲーム開発を学ぶ取り組みのこと。そのゲームジャムを、東日本大震災の被災地の1つである福島県を中心に実施しているのが「福島GameJam」だ。

福島GameJamの事務局長を務める、IGDA日本副理事長の中林寿文氏
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 このイベントを主催しているのは、ゲーム開発者のNPO法人である「国際ゲーム開発者協会日本」(IGDA日本)。副理事長であり、福島GameJamの事務局長を務める中林寿文氏によると、このイベントを最初に開催したのは2011年8月、つまり東日本大震災が発生した直後になる。

 東日本大震災では、地震や津波による大きな被害を受けただけでなく、それに起因して発生した福島第一原子力発電所事故の影響により、福島県を中心として農作物などの風評被害を強く受けている。IGDA日本では、被災地の現在を伝えるとともに、風評被害の影響を受けないIT産業の人材を育て、福島をはじめとした東北地方に広域のITクラスターを整備し、新しい産業を生み出すことを目的として、震災直後に福島GameJamの開催を決めたという。

 初年度は震災直後で、イベントの開催にいたるまでの期間が短かったこともあり、開催を危ぶむ声もあった。だが、イベント実施の話を聞いて、多くのゲーム関連企業や開発者などが賛同と支援を表明。そうした協力もあって、南相馬市でのイベント開催にこぎつけることができたのだ。

 3回目となる今回は、浜通り地方にある南相馬市だけでなく、中通り地方にある郡山市でもメーンの会場を構えたのに加え、サテライト会場は海外にまで広がった。また、人材の育成や交流といった観点から、福島GameJamの参加者に向けた事前の開発者支援セミナーを、福島県内をはじめとする複数の都市で実施。こうした取り組みにより、今年の参加者は昨年(2回目)の170人から531人へと大幅に増加している。

福島県内2カ所のメーン会場に加え、日本だけでなく南米にまで会場が拡大。参加者も531人と、前回の3倍近くに増加している
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