4型液晶の端末も引き続き開発する

黒住:我々はXperia Z Ultraを「タブレット」だとか、最近言われるようになった「ファブレット(phablet、スマートフォンとタブレットの間に位置する端末)」だとは思っていない。あくまでスマートフォンだと思っている。個人的には、Xperia Zと比べてもこの機種はディスプレイが少々大きい程度、という感覚。タブレットからの引き算ではなく、スマートフォンからの足し算で端末を企画している。とはいえ電話機としては大きなサイズなので、特に通話時は、従来のようなスタイルで使うのが恥ずかしいと感じるユーザーもいると思う。これに関しては、別売りのヘッドセットで新しい提案をしている。これまでのBluetoothヘッドセットは、対象物がない空間に向かって話すことに違和感があり、個人的にあまり使ってこなかった。だが今回のものは、子機のような感覚で手に持って使うことができ、違和感がない。

電話機のように、手に持って通話するスタイルのBluetoothヘッドセット「SBH52」
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――Xperia Z Ultraのサイズは、今後のフラッグシップになり得るものだと考えているのか。それとも実験的な意味合いが強いのか。

市野:年初に発売したXperia Zの5型液晶は、より万人受けするフラッグシップのサイズ感として提案したもの。このラインを超えて、Xperia Z Ultraの6.4型というサイズが多数派になっていくとは思っていない。ただ、市場が伸びるだろうとは思っている。実験というよりは、挑戦だと思っている。新しいユーザーに新しいライフスタイルを提案する端末だ。ユーザーが我々が想定していなかった使い方を発見するのではないかとも思っている。

 最近人気の7型タブレットは、スマートフォンとの2台持ちが前提。さらに、画面の縦横比が16:10のものが多く、映画など16:9のコンテンツを見ようとすると、実はこのXperia Z Ultraと実質的な画面サイズがほとんど変わらない。それでいて7型タブレットは幅が10cm以上あるので、片手で持つには無理がある。パスポートと同等の幅なら、スーツのポケットにも入る。「タブレットとして、ここまで持ちやすいものはなかった」とか、そういうニーズも出てくると思う。電子書籍リーダーとしての需要にも期待している。

黒住:今の日本の市場には、こうした大型のスマートフォンを受け入れる土壌がないと思われるかもしれないが、3年前を思い出してほしい。当時はタッチ操作のスマートフォンを受け入れる土壌すらもなかった。そこへiPhoneが上陸して、一気に市場が開けていった。今、日本以外で何が起きているかというと、特に中国やアジアの国々では、大型端末の市場が一気に盛り上がっている。それが世界に広がらない理由はない。これはかつて、スマートフォンを「キワモノ」として見る人が多かった状況に似ている。広がるときは一気に広がるのがこの業界だ。

――なぜアジアの国々では大画面のスマートフォンが急激に普及しているのか。

黒住:現地のユーザーがよく言うのは「大きな画面の端末を一度使うと戻れない」ということ。動画にしてもウェブにしても、大画面のほうが見やすいじゃないか、と。ただ、本当のところはよくわからない。動画を見るためだけに大画面の端末に切り替えるとも思えない。言い換えれば、これといった理由がないのに大画面の端末が普及しているのが今の世界市場だし、逆に突然、小型のスマートフォンが大流行してもおかしくない。テクノロジーの進歩に伴って嗜好が多様化するなかで、「フラッグシップ」はもちろん設定するのだが、ユーザーが欲しいと思う商品をそろえておくのは、メーカーとしては当たり前のことだと思う。一つのスマートフォンで、あらゆるユーザーのニーズに対応していくのは、もはや不可能だ。今後も、さまざまなサイズのラインアップを継続して展開していく。5型に加えて4型画面の機種も、引き続き投入する。10型のタブレットもしっかり需要があるので、変わらず開発していく。