シェネルの「ベイビー・アイラブユー」という曲は、多くの人が一度は耳にしたことがあるだろうヒット曲だ。日本で大ブレイクを果たすきっかけにもなった2011年発売のこの曲は、累計250万ダウンロードを記録。プロフィールビデオ自動作成サービス「レコフォト for Wedding」が2013年6月13日に発表した「2013上半期 ウエディングソングランキング」でも、同サービスのユーザーが選んだ結婚披露宴・披露パーティーで人気の曲1位になるなど、発売から2年を経てもなお支持を得ている。
 「ベイビー・アイラブユー」を含む、J-POPを含む洋楽・邦楽をカバーしたアルバム「ラブ・ソングス」(2011年)は50万枚突破、続くアルバム「ビリーヴ」(2012年)も30万枚を突破するなど、日本で異例の活躍をするシェネル。現在ロサンゼルス在住で、実は日本には何のルーツも持たない彼女が、日本で活動する理由など、今の心境を聞いた。

シェネル
1983年、マレーシア生まれのオーストラリア育ち。現在はロサンゼルス在住。2005年、SNSの「MySpace」でのデモ公開をきっかけに米キャピトル・レコーズと契約。2007年、シングル「ラブ・ウィズ・DJ」でデビュー。日本で発売された1stアルバム「Che'Nelle」はオリコン洋楽チャート1位を獲得。2011年には最新J-POPを含む洋楽・邦楽をカバーしたアルバム「ラブ・ソングス」が50万枚突破、オリコン洋楽5週1位、iTunes46日間総合1位という記録を達成。2012年のアルバム「ビリーヴ」は30万枚突破。2013年8月7日、ニューアルバム「アイシテル」をリリース。「バーニング・ラヴ」「アイ・ウィル」「タッチ(クロース・トゥ・ユー)」などCMタイアップ曲を収録。今後は10月1日に開催される「TSUTAYA presents 2013 SUMMER CAMPAIGN T-GROOOVEオリジナルライブ」への出演が決まっている

自分の役目は物語を伝えるということ

──「ビリーヴ」から1年でニューアルバム「アイシテル」が発売になりました。期間が短かったようですが、アルバムの完成度には納得していますか?

シェネル:本当に楽しくすばらしいレコーディングを経験できました。「アイシテル」より前のアルバムは、曲だったり、歌詞だったり、何かしら素材があったうえで、ほかのクリエーターとともに作り上げていくようなことが多かったのですが、今回は何もない状態でスタジオに入り、「さぁ、どうしようか」というところから始めたんです。ある意味、私自身が、今まで以上にクリエーティブな面に携わった作品と言えますね。

──母国語や日常で使っている英語ではなく、日本語の作品に最初から関わることは、あなたにとって難しくはありませんか?

シェネル:この数年、J-POPの作品づくりにずっと関わってきているので、「何もない」とはいっても、「経験」が重ねられ、どういうメロディーにしたらいいか、どういう言葉を選んだらいいかということは、私の中に十分に入り込んできています。だからこそ、より深く、作詞作曲の面で自分を表現できたのだと思います。自分を出せたという意味では、一番気に入っているアルバムと言えますね。

──「アイシテル」もそうですが、バラードの「Forever」など、言葉がしっかり耳に残る歌が多いですよね。アルバムのテーマが「愛」ということかと思いますが、このテーマを選んだことには、ご自身のプライベートな部分は影響していると思いますか? 特に結婚したばかりだと思いますが。

シェネル: 私は、自分を出すことができる作品をつくることで、皆さんに共感していただけるのではないかと思っているんですね。だから、私自身が経験してきた「愛」をテーマにしようと思いました。「愛」はいつも幸せなわけではなく悲しいこともあります。そうした経験や思いを曲に込めることができるということ、自分の中のいろんな感情を表現できるということがポイントでした。
 ただ、愛はいろんな意味にとらえられる大きな言葉であり、あいまいな言葉でもあると思います。だからこそいろんな物語が生まれるわけです。

──制作面にかなり関わっていらっしゃいますが、何も知らないリスナーは、日本人ではないあなたが日本語で歌を歌うと、周りのスタッフが用意した歌を、ただ歌っているだけだと思うことがあるかもしれません。それは、アーティストとして不本意ではないですか?

シェネル:制作面の話は、ファンの方は気にしていないのでは? ファンの方やリスナーの方は、シンガーソングライターだとかクリエーターだとかいった視点で私を見ているわけではなく、「シェネルはシェネル」として見てくださっているのですから。
 私がクリエーティブな面にも関わっているという事実は、インタビューなどで伝える機会があるだけで十分です。
 大切なのは聴いてもらって、楽しんでもらうこと。自分の役目は物語を伝えるということであって、それによって聴いた人が何かしら感じてくれることがあれば、何よりうれしい。自分で書いたものでも、ほかの人が書いてくれたものでも、それを聴く人に伝えることが、大切だと思っています。