農業・建設機械メーカー大手のヤンマーがブランドイメージを刷新し、コンセプトモデルのトラクターとボート、農業ウエアなどを発表した。

 同社は2012年、創業100周年を迎えたのを機に、1兆円企業に向けた成長戦略をスタート。その一環としてブランドイメージの向上を目指す「プレミアムブランドプロジェクト」を進めている。

 同プロジェクトでは、世界的に活躍する3人のクリエーターを起用。総合プロデューサーとしてクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を招聘したほか、プロダクトデザインはヤンマーホールディングス取締役に就任した工業デザイナーの奥山清行氏が手がけた。さらに、ファッションデザイナーの滝沢直己氏も参画し、新たにアパレル事業を開始。「常に顧客の想像を超えるソリューションを提供し、喜びと感動を与え続けられる企業を目指す」(同社の山岡健人社長)という。

 ヤンマーは1933年、世界で初めてディーゼルエンジンの小型・実用化に成功。農作業の負担を劇的に減らすなど最先端の技術で農業、漁業、建設機械、エネルギーなどの分野を開拓してきた。ヨット用エンジンでは世界シェア6割超、建設機械用小型エンジンでも半分以上のシェアを誇る。また「セレッソ大阪」のパートナー企業でもあり、現在、マンチェスター・ユナイテッドに所属する香川真司選手とは高校生の時にプロ契約。2012年、そのマンチェスター・ユナイテッドとグローバル・パートナーシップを締結し、7月26日にはマッチネーミングスポンサーとして「ヤンマープレミアムカップ」を開催した。

 こうした実績とは裏腹に、ヤンマーに対する世間の印象は希薄だ。50年以上前に始まった「ヤン坊マー坊の天気予報」はおなじみだが、ほかにはあまり浮かんでこない。総合プロデューサーの佐藤氏も「正直、プレミアムなブランドのイメージはなかった。『いいものを作っていれば大丈夫』という感覚があるせいで本来の価値が伝わっていないのは、日本企業が抱える問題の1つ。グローバル競争のなかでは正しく伝えないとブランドとして認識されない」と語る。

 次の100年に向けて新たなスタートを切ったヤンマー。世界的なクリエーターが手がける新戦略「プレミアムブランドプロジェクト」とはどんな取り組みなのか。発表会で披露されたコンセプトモデルから、同社が目指すビジョンが見えてきた。

ヤンマーのプレミアムブランドプロジェクト発表会。プロジェクトを手がける佐藤可士和氏、奥山清行氏、滝沢直己氏、山岡社長のほか、香川真司選手らマンチェスター・ユナイテッドの選手も登場した
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新たに取り組むウエアプロジェクトで開発した農業ウエアとマリンウエアを披露
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