水槽といえば「魚を飼育するための箱」というイメージしかなかったが、最近、水草を主役とした「水草レイアウト水槽」の人気が高まっているという。たしかに鑑賞魚ショップなどでは水草の売り場スペースがどんどん広くなっていて、今や園芸店のような様相を示しているところも多い。ショップのスタッフに聞くと、魚を飼わず水草だけを育てたり、水草の生育環境を良好に保つために魚を飼ったりするなど、今や“主客転倒”とも思える使い方をしている人が珍しくないそうだ。

都内最大級の熱帯魚ショップ「パウパウアクアガーデン」入口近く。入ってすぐの最も目立つ場所を水草売り場が占めている
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観賞魚の水槽のほかに、スタッフの手によって美しくレイアウトされた水草水槽が至るところに配置されている。水槽をカメラで撮影する客も多くいた
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用具の進化で飼育が簡単に、“アート”として買う層が増加

 「ここ数年、水草がよく売れていて動きがいいため、入荷量も扱う種類もどんどん増やしている」(都内最大級の熱帯魚専門店「パウパウアクアガーデン」銀座店の千葉武志サブリーダー)。顧客層は30~40代が多く、女性も多いが、マニアックなものを購入するのは男性が多い。愛好者が増えている理由は大きく3つあるという。

1.水槽まわりのデザインの進化

 かつては魚の飼育に特化した実用的な水槽や道具が多かったが、現在は縁の無い曲面タイプのオールガラス水槽やガラス製のオブジェのような飼育道具など、インテリア性を重視したものが増えてきた。そのため水槽をインテリアのひとつの要素と考える層が絵を描くような感覚で水草をレイアウトしたいと考えて購入している。

2.ソイル(土)など飼育用キットの進化

 かつて水草は育てるのが難しく、素人にはハードルが高かった。その理由の1つが、熱帯魚飼育では水槽の底砂に砂利を使用するのが一般的であり、砂利だと水草が根を張りにくかったため。水草を育てるのに適した底砂のソイル(土)は使い方が難しいうえ、種類が少なく値段も高かった。

 しかしここ数年ほどで多くのメーカーから、水草を簡単に育成できるように肥料分を豊富に含んだソイルや、初心者でも扱いやすい加工が施されたソイルなどが売り出され、メーカー間の競争から価格も下がっている。水質を保つためのキットなども多数登場し、以前は難しいといわれた水草飼育のハードルがどんどん下がっている。そのため初心者も気軽に水草栽培を始められるようになり、愛好者のすそ野が広がったのだという。

 つまり、水草を育てるツールの機能やデザインが進化したことで、「インテリアの一部として水草を部屋に飾りたい」という層が手軽にチャレンジできるようになった。つまり、新たな顧客層が生まれた、ということのようだ。「熱帯魚飼育の愛好者ではない、水草のことをよく知らない人が観葉植物感覚で買っていくことが増えていて、裾野が広がっているのを感じている」(千葉氏)という。

 ここで新たなファン層の代表として、3年前から水草レイアウト水槽にハマっているというマンガ家のタナカカツキ氏にその魅力を聞いた。

人気の高い水草は最初からパック詰めにして売られている。手に取って近くで見ることができ、店員に声をかけなくても手軽に購入できるなどの理由で人気があるそうだ。そのため同店では、3年ほど前からパック詰め専用の台を入口近くの目立つ場所に数台置いている
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デスク脇における、極小サイズの水草水槽「プランツアクアリウム」(1セット500円~)
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肥料がすでに含まれているソイル
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粒の大きさや製法の異なる多くのソイルがある
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