生きるために必要なコレステロールの正体

 コレステロールは食べ物に含まれる脂肪分を原料にして、主に肝臓で作られる。体に悪いものという印象を持っているかもしれないが、実は生きるために欠かせない物質だ。細胞膜の原料となったり、ホルモンやビタミンDの原料にもなる。

 問題はコレステロールが増えすぎたときである。従来の健診では、総コレステロール値220を超えると要注意としていたが、このガイドラインについては、もう少し高くてもいいという意見や、働きの違うコレステロールを同時に扱うことに専門家からも異論が出ている。

新しい動脈硬化のマーカー『LOX-index』に注目

 そこで、重要視されるようになったのが、LDLとHDLというコレステロールの比率。LDLは血管の内壁に脂肪分がどろどろと沈着する動脈硬化を招く物質。それに対してHDLは血管を掃除する働きがある。だから、LDLとHDLの総量や一方だけの量を測るのではなく、比率が大事になるわけだ。

 さらに「最近では、動脈硬化のリスクを知るのにもっと良い指標がある」と澤登院長はいう。その指標は、LOX-indexと呼ばれ、日本国内で行われた臨床研究により、脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクと相関することが報告されている。

 LDLは、体内でコレステロールを運搬する働きがあるが、さまざまな原因で酸化してしまうと酸化LDL(LAB)となり、動脈壁に存在するLOX-1という物質と結合し、血管内に慢性的な炎症状態を引き起こす。これが、動脈硬化の原因となる。LOX-indexは、血液検査で、血清中のsLOX-1(可溶性LOX-1)と酸化LDLの値を測定し、sLOX-1の値に酸化LDLの値を乗じた指数「LOX-index=可溶性LOX-1×酸化LDL」という式で表され、それによって動脈硬化発症のリスクがわかるという。

 日常生活でLDLの増加を防ぐのはそんなに難しいことではない。動物性脂肪のとりすぎに注意して、適度に運動をすればいい。適度に運動をすれば、食べ物で脂肪分をある程度とっても、エネルギーとして消費されるからだ。

コレステロールが高いといっても痛みもないし…
なんていってるアナタ。そう、コレステロールが高くても自覚症状がないのが問題だ。でも、確実に脂質異常症(高脂血症)や動脈硬化は促進されている。ご存じのように運動によって消費されるエネルギーよりも、食べ物でとる脂肪分が多くなってくると、コレステロールとして体内にたまっていく。実は、動脈硬化の原因となるのは、コレステロールの中でも悪玉とされるLDLのこと。外食が多い人は要注意。
悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLが増えてくると、体のさびとなって血管の壁にぐちゃぐちゃとへばりついていく。善玉コレステロールと呼ばれるHDLがいくら頑張っても追いつかなくなる
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シグナルcheck!
LDL/HDL比
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LOX-index
以前までの指針だった総コレステロール値に代わって、注目されてきたのがLDL/HDLの比率、LH比だ。澤登院長によると、HDL/LDLは、1.0~1.5が理想。悪くても2.0以内に抑えたいという。 新しい動脈硬化のマーカーが「LOX-index」。血清中の酸化LDL(LAB)とsLOX-1(可溶性LOX-1)を測定し、可溶性LOX-1×酸化LDLの値がLOX-index。数値の高さで動脈硬化の発症リスクがわかる。採血して約2週間で結果が出る。

血圧と動脈硬化の深~い関係

 「高血圧は動脈硬化の原因でもあり、結果でもある」と澤登院長は説明する。血圧が高いと、血管の壁に負担がかかって内側の壁に傷がつき、そこに脂肪がたまりやすくなるからだ。

 そうして血管の内側が脂肪で埋まっていくと、血液が通りにくくなる。すると、さらに血圧を上げないことには、きちんと血液が全身に回らなくなる。

 こうして高血圧と動脈硬化の悪循環が起きるわけだ。最終的には血液が詰まって心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞を引き起こしたり、血管が破れて脳出血や動脈瘤(りゅう)破裂を起こしたりする原因となる。

 「高血圧の原因は遺伝が3割、生活習慣が7割」と澤登院長はいう。予防には、やはり適度な運動と食生活の見直しが大切だ。

 運動の種類としては、ウオーキングやサイクリングのように、たっぷりと酸素を体内に取り入れるものがいい。運動直後は一時的に血圧が上がるものの、習慣として続けると普段の血圧は下がってくる。食生活の面では、塩分を控えることが良いとされるが、塩分を控えても血圧が変わらない人も多くいるという研究発表がある。

安心できる血圧は? 自宅に血圧計を用意

 いずれにしても、血圧は1日のうちでも変動が大きい。40代になったら自宅に血圧計を置いて、日に2、3回の測定を繰り返し、自分の標準的な血圧を知ることをお薦めしたい。最近では、生活習慣病の予防には135/85mmHg未満を目指すべきだとする意見が強い。さらに糖尿病患者には「上が120台、下が70台となるように指導している」と河盛特任教授は語る。

血圧が高くても病気ってワケじゃないでしょ
なんていってるアナタ。高血圧は立派な病気と認識すべし。健康に関心が薄い人でも、血圧が気にならない人は少ないはずだが、あまりに身近すぎて血圧の重要性を忘れがちな人は多い。「血圧が高いけれど、まだ病気はないから心配ない」などと自己診断をしていないだろうか。「心配ない」どころか、高血圧は万病のもととなる。諸悪の根源である動脈硬化と深い関係があることを忘れてはいけない。
高血圧と動脈硬化はとっても仲のよい悪友。高血圧を放っておくと血管の内側にコレステロールや糖がたまって、さらなる血圧の上昇を招く。行き着くところは、血管の詰まりか破れである
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シグナルcheck!
血圧
NEW ここもcheck!
足首の血圧
全身に血液を送る心臓の動きに伴なって、血管にかかる圧力を示す数字。収縮期血圧(最大血圧)と拡張期血圧(最小血圧)の二つの数字で表す。一般に、140/90mmHg以上が高血圧とされる。 一般的に血圧を測定するのは上腕部だが、併せて足首の血圧を測ると、足の動脈硬化の状況がわかる。健康な人は、心臓に血液を戻すために足首の方が1割方高い数字を示す。だが、その比が小さくなると要注意。
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ページ中段の表の一部を修正いたしました。[2013/06/17 15:50] 表中の誤りを修正いたしました。[2013/06/28 15:40]