寿司が高速で“流れる”! 驚きの特急レーン3段重ね

 昨年7月、元気寿司が出店した105円均一の「魚べい 渋谷道玄坂店」。郊外のロードサイドを席巻する大手をかわし、回転寿司の空白地帯といわれる都心に進出するためのモデル店だ。

 都心攻略の武器は、おなじみの回転レーンを廃して効率化した“回らない”店舗システム。まず、客はタッチパネルで好みのメニューを注文する。すると、座席前面にある3段重ねの特急レーンに、1分もかからずに作りたての寿司が届く。見えない“職人”を相手に食べる、寿司のファストフード店という雰囲気だ。

 同じ列に座る客が頼んだ寿司が、目の前をひっきりなしに通り過ぎるのを見るだけで楽しい。平日夜に訪れると、カウンター席だけで白一色のスタイリッシュな店内には、1~2人で食事する若い女性やカップルの姿が目立つ。子連れ客が多くて騒々しい郊外店とは明らかに違う客層で賑わっていた。

 その半面、バックヤードは“戦場”だ。シャリ玉を自動で皿に盛り付ける最新寿司ロボットを2台導入したとはいえ、大量の注文に応えるのは容易ではない。それでも元気寿司の佐伯崇司社長は、「賃料が高い都市部で利益を出すには必要な仕組み」と話す。

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 渋谷道玄坂店の客の滞在時間は、通常の回転レーンも備える魚べいの郊外店より平均10分短く、客数が増えたぶん売り上げは1.5倍に拡大。タッチパネルからの注文内容はレジで一括管理されるため、会計時に皿を数える手間がかからず、店員の人件費を圧縮できる。さらに、これまで回転レーンに流す寿司は30分たつと廃棄していたが、新店では商品ロスが実質ゼロになった。佐伯氏は「次も新宿や池袋などの繁華街に同タイプの店を出す予定」と話す。