最近、住宅市場に活況の兆しが見え始めている。

 「実感として、ここ数カ月、お客様の動きは大きくなってきました。住宅に関する助成金や税金の控除の話がみえてきて、『消費税が上がるのなら、早めに動こう』と考える方が増えているのではないでしょうか」。

 フジ住宅 大阪支社営業部の冨岡慎一郎氏はいう。同社は大阪府下・神戸阪神間を中心に分譲住宅事業や中古住宅の再生事業などを展開している大手のハウスビルダーだ。数年前と比べると、住宅に対する購入者のニーズも大きく変わったという。「以前は『安ければ安いほどいい』でしたが、今は『適正価格で満足度合いの高い家を持ちたい』というお客様が増えています」(冨岡氏)。

 住宅購入時に重視するポイントは「価格の安さ」から「質の高さ」へと変わった。東日本大震災以来、この「質」のなかでも、とりわけ重視されるのが「地震対策」だという。

 「家の本来の目的である安全、安心に、長く住んでいただけるという点を大切にしている当社では、提供するすべての新築住宅において、住宅性能評価の耐震等級は最高の3を取っています」(冨岡氏)そんなフジ住宅では、さらなる地震対策として、去年の9月から、住友ゴム工業の制震ダンパー「MIRAIE[ミライエ]」を同社の分譲住宅に標準装備し始めたという。

取材した建築現場。玄関の周囲の2カ所の壁の内部に、直行するかたちでMIRAIEが設置されているのがわかる。
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 すでに耐震において最高等級を取得しながら、さらに制震ダンパーを追加した理由とは何だろう。「1つは、地震が来ても、ある程度、制震ダンパーで揺れを吸収してもらえること。もう1つは、本震だけでなく、何回も何回もくり返される余震にも耐えられるという点です」(冨岡氏)。 MIRAIEの制震部分には、住友ゴム工業が開発した高減衰ゴムが使われている(「地震の揺れを吸収する高減衰ゴムの秘密に迫る」参照)。

 「揺れを吸収することで、建物のダメージだけではなく、住んでいる方の地震に対する不安も減らせる。また、長期耐久性により、本震だけでなく何回もくり返される余震にも耐えられる。結果、MIRAIEを設置すれば、メンテナンスフリーで、より長く住んでいただける……そんな安心感が大きいですね」(冨岡氏)。

 MIRAIEが、制震ダンパーとして高い性能を発揮できるのには、もう1つ、理由があった。それは、現場での「設置方法」だ。ほかの制震ダンパーと異なる独特の設置方法とは、いかなるものなのか。早速、その秘密を探るべく実際の建築現場を訪ねた。