毎分72時間の動画がアップされ、1カ月の動画再生時間が40億時間を超える世界最大の動画共有サイト「YouTube」。アーティストや企業が宣伝の一環として活用したり、一般の人が日常生活を動画で公開するなどさまざまな動画が集まっている。

 海外では素人がYouTubeに自分の歌やダンスを投稿し、それをきっかけにスターに上り詰めた人もいる。カナダ出身のシンガー、ジャスティン・ビーバーはYouTubeから生まれた大スターだ。そのほかにも自分の特技を定期的にアップロードし、広告収入を得て生計を立てている人もたくさんいる。動画投稿者は「ユーチューバー」と呼ばれ、人気ユーチューバーともなると、その収入は驚くほどの額となる。

 YouTubeで生計を立てている人が利用しているのがグーグルの「YouTubeパートナープログラム」だ。チャンネルや動画に広告を掲載すると広告収入の一部をもらえる仕組みだ。グーグルは日本を含む20カ国で、これまで招待制だったYouTubeパートナープログラムを今年4月から誰でも使えるようにした。これにより、日本でもYouTubeだけで生計を立てる人が出てきた。日本の人気ユーチューバーの3人に話を聞いた。

犬が出てくる料理番組

人気チャンネル「Japanese Food+Dog=Cooking with Dog」を運営するCookingwithDog氏
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 日本食の作り方を丁寧に紹介する人気チャンネル「Japanese Food+Dog=Cooking with Dog」。台所の調理台の上のプードル犬「フランシス」が調理を見守る。「衛生上、調理中に近くに犬がいるのはテレビではできないこと」。そう語るのは、YouTubeで生計を立てるCookingwithDog氏。映画やドラマの仕事を志し、海外留学の経験もある同氏。4年前からテレビ局の外報ニュースを扱う部署で働きつつ、YouTubeでの活動をスタート。

 YouTubeだけで自分の生活が支えられる目処が立った昨年11月に会社を退社し、COOKING with Dogに注力しだした。「収入の目処が立ち、YouTubeだけにフォーカスすれば、より収入が増える可能性にかけて会社をやめました」。動画を掲載するペースを2週間に1回だったところを1週間に1回に速めた。

 日本食を題材にしたのは、同氏の海外留学からだ。当時、米国では日本食ブームで、食材や日本食レストランは繁盛していた。海外に向けて日本食を発信すれば、注目されるはず。英語の字幕もつけて、海外の人でも分かりやすいように工夫した。日本食はレパートリーが豊富でネタ切れにもなりにくい。

 COOKING with Dogの動画は、映像にもこだわっている。調理する手元のアップと引きを2回撮影して、分かりやすく工夫している。「ビジネスだけを考えれば、撮影は1回だけの方が効率がよく、新しいレシピをどんどん作った方がお金になります。しかし、それは僕のやりたいことではない。でもビジネスなので、妥協点にはなやんでいます」

 「収入をYouTubeだけにするのはリスクはあります。グーグルが方向転換したり、システムを変更してこれまで通り収益を上げられなくなる可能性もあるでしょう。それでも、その分リターンが大きい。将来性や希望がなければ、優秀な人材は集まってきませんから。私としては作品の発表の場としてYouTubeがあったことを感謝しています」