連載「THIS IS HIT!~時代の“ツボ”~」でおなじみの元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が「WIRED CONFERENCE 2012」をイラストを交えて徹底レポート。US版WIRED編集長のクリス・アンダーソン氏が提唱する「メイカーズムーブメント」とは?

 2012年11月9日に東京・六本木で開催された「WIRED CONFERENCE 2012」。「新しい産業革命(メイカーズムーブメント)が世界のものづくりを変える」というテーマを掲げたカンファレンスだが、著書「フリー」で知られるUS版WIRED編集長のクリス・アンダーソン氏が登壇するとあって会場は満席。同氏とその新作『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(以下、『メイカーズ』)への注目の高さがうかがえた。

 そこではどんなことが語られたのか? 「新しい産業革命」の中身とは? カンファレンスの模様をレポートしたい。

イラスト/清水淳子
[画像のクリックで拡大表示]

 クリス・アンダーソン氏はこれまでにも、ビット経済(デジタル市場)を考えるうえでの重要な概念(ロングテールやフリーミアム)を提唱・紹介してきた人物として知られる。いわばウェブビジネスにおけるトレンドセッターの世界的第一人者、ビジョナリーだ。その著作が日本でもベストセラーになったのも記憶に新しい。その彼がいま取り組んでいるテーマが「メイカームーブメント」だ。

 メイカームーブメントとは何か? 単純に言うならそれは、「誰もがモノ作りをすることができる時代が到来しつつある」ということだろうか。ソーシャルウェブ(ブログやSNS)の普及によって、テキストや写真、イラスト、音楽、動画といったコンテンツを手軽に発信・共有できるようになっている昨今だが、その波がついに「『製品作り』(マテリアル/アトムの領域)にまで及び始めている」というのだ。