巨匠・石ノ森章太郎が残した名作『サイボーグ009』。これまでに何度もアニメ化、映画化されてきた同作品が再び生まれ変わる。2012年10月27日に公開される映画『009 RE:CYBORG』である。

 監督を務めるのは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズや『東のエデン』シリーズなどで高い評価を受けている神山健治氏。作品の中で常に現代社会の問題と向き合ってきた神山氏らしく、本作でも現代の視点からサイボーグ戦士達の戦いを描く。

 アニメ制作のプロダクション・アイジーと3Dアニメの制作会社サンジゲンが手掛けた映像は全編が3DCGとなる新しい試み。慣れ親しんだ日本のセルアニメのような質感を保ちつつ、これまで実質不可能だった「スローモーション」を取り入れるなど過去にない映像表現を追求している。

 神山監督は、同作を「描きたいことと実現可能な表現が上手くシンクロした幸せな作品」と語る。では、『009 RE:CYBORG』で描こうとしたことは何か。往年の作品を今、再生した理由は何か。神山氏に話を聞いた。

神山健治(かみやま・けんじ)
1966年生まれ、埼玉県出身。高校卒業後、スタジオ風雅に入社。劇場アニメ「AKIRA」「魔女の宅急便」などに背景スタッフとして参加後、フリーに。「人狼 JIN-ROH」で演出、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」で脚本を担当。2002年の「ミニパト」で初監督を務めた。その後、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ、「東のエデン」シリーズなどを監督

――『サイボーグ009』を改めて作ろうというお話自体はどこから出てきたのですか?

神山健治氏(以下、神山):この企画は最初、押井守さんが監督をして、僕は脚本だけの予定だったんです。次の映画の企画を話し合っている段階で、押井さんの原点は『サイボーグ009』、それも「神々との闘い編」(※)にあるんだというような話を本人がしていて、「それなら『009』を映画化しては」ということになりました。

 「神々との闘い編」は、「神とは何か?」「正義とは何か?」「そもそも誰がために戦うのか?」といった深遠なテーマに踏み込んだ作品です。ほかのエピソードとは違ってアクションもほとんどない。そのあたりも、現在の押井さんの作風の片鱗を見て取れました。

※漫画雑誌「COM」1969年10月号~70年12月号に掲載されたシリーズ。島村ジョーらが考古学者の死の真相を調査する中で、サイボーグ戦士たちに不審な事件が起こる。

 ただ、その時点で押井さんが作りたい映画は、「神々との闘い編」ですらない、至極個人的なものでした。ゼロゼロナンバーサイボーグたちのほとんどが死んでしまった後、生き延びたフランソワーズ(003)と島村ジョー(009)が世界を歩きまわりながら謎を突き止めていくというような話だったんですよね。

深紅のスーツに黄色いマフラーという姿は大人世代には懐かしい。『009 RE:CYBORG』は、『サイボーグ009』の精神を引き継ぎつつ、設定を現代に移した
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