横断歩道を青信号で渡りきれない?

 筋力は何もしないと加齢とともに確実に減少する。最大の理由は、大人になると大半の人が運動習慣から遠ざかってしまい、子供のころに備わっていた筋肉が失われてしまうこと。なかでも衰えやすいのが、速い大きな動きをする下半身の筋肉(ひざから上)だが、これは運動など普段の生活習慣による個人差が大きい。80歳ではその差が約3倍にもなるといわれている。例えば、肺活量などは元気な人と寝たきりの人でも3倍までは差がつかない。40歳以降の過ごし方で高齢になってから大きく差がつくのが「筋肉」なのだ。

 筋力の衰えが最も分かりやすいのは「歩行速度」。現在のロコモのチェック項目のひとつに「横断歩道を青信号で渡りきれない」というのがある。日本の横断歩道の青信号が点灯する時間は1メートルにつき1秒であることが多い。つまり15メートルの横断歩道なら15秒で青信号が変わる。これが渡りきれないということは、歩く速度が秒速1メートル以下ということ。「最近、歩いていて若い人に追い越されることが多くなった」と感じたら、足の筋力が衰えている証拠だ。

 筋肉の衰えを自覚しているならば、体を動かすように生活改善をしないといけない。働き盛り世代だと「スポーツをしたくても忙しくて時間がとれない」と人が多いが、大江氏によると「日常の活動強度を上げるだけで、運動に匹敵する効果があることが分かっている」とのこと。「例えば、駅や会社でエレベーターを使わず階段を使う、速足で歩くという程度でもいい。何もしないと、後になるほどツケが回ってくる」(大江氏)。

 食事も大事だ。筋肉はタンパク質などの材料がないとつかない。また運動をすると筋肉でエネルギーを燃やすので、運動をしてもたんぱく質が不足すると、筋肉はむしろ減少してしまう。良質のたんぱく質をしっかり摂ることを心がけたい。筋肉をつけるには1日に60~70gのたんぱく質を摂ることが必要だが、この量をしっかり摂るのはなかなか難しいという。

※「筋肉の衰え度」自己チェック法
オフィスのイスに座った状態で両手を胸にあてたまま、片脚で立ち上がる。これで、体重と脚の筋力のバランスが分かる。イスが低いほど筋力が必要になり、オフィスのイスはだいたい45センチ程度。パイプイスは40センチ程度。オフィスのイスから立ち上がれないようだと、脚の筋力がだいぶ落ちていることになる
公式ウェブサイトでは「横断歩道を青信号で渡りきれない」「階段を上るのに手すりが必要」といった7つの質問に「はい」「いいえ」で答えていくと、最終的にどこが特に弱っているかを診断してくれる(引用元:ロコモ チャレンジ!推進協議会公式ウェブサイト)
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