この数年、日本の映画業界では洋画が厳しい状況にある。3D映画ブームで一度は盛り返したものの、今年公開の作品を観ると『テルマエ・ロマエ』『BRAVE HEARTS 海猿』『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』など邦画のヒット作はあるが、洋画でこれらと並んで上位に食い込んでいるのは『アベンジャーズ』程度だ。

 ヒットする邦画は、マンガや小説が原作の作品やテレビドラマの映画化作品が多い。これらは、「思っていた内容と違う」というような、いわゆる“ハズす”心配が少ない。対して、洋画は、内容がわからないことから敬遠する人が増えているという。

 そこで洋画を配給する各社が力を入れるのは、“邦題”の付け方。例えば、小規模公開ながら、異例のヒットが続く『最強のふたり』という作品がある。この映画の原題は『Intouchables』。この作品は、体が不自由な富豪とその介護人となった若者の交流を描いたストーリーだが、「触れられないもの(たち)」という意味の原題で、映画の内容を想像できる人は少ないだろう。

 この夏には『崖っぷちの男』という作品が公開され、スマッシュヒットを記録した。この映画の原題は『マン・オン・ザ・レッジ』で、直訳すると「へりに立つ男」。崖の上に立つシーンは登場しないが、彼の置かれた緊迫する状況を“崖っぷち”という言葉で表した。

 最近、原題とはまったく異なる、日本独自のタイトルをつける作品が増えている。『崖っぷちの男』や、10月12日に公開される『推理作家ポー 最期の5日間』という作品の邦題を手がけた、ウォルト・ディズニー・ジャパンの宣伝プロデューサーの脇坂守一氏に、今の時代に求められる邦題やこだわりを聞いた。

脇坂守一氏
ウォルト・ディズニー・ジャパン スタジオ・グループのマーケティング スタジオ・グループ シニアマネージャー。同氏がこれまでに手がけた邦題の代表作には、『魔法にかけられて(原題:Enchanted)』『ダウト~あるカトリック学校で~(原題:Doubt)』『あなたは私の婿になる(原題:The Proposal)』『ヘルプ~心がつなぐストーリー~(原題:The Help)』などがある
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