キヤノンが2012年9月中旬に発売するミラーレス一眼「EOS M」。この秋注目の製品の1つだが、まだ量販店の店頭には実機が並んでいないこともあり、ファンをやきもきさせている
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 キヤノン初のミラーレス一眼「EOS M」の登場が2012年9月中旬に迫ってきた。発売のニュースを受けて多くの注目が集まっているが、熱心なファンのなかには「キヤノンのミラーレス一眼にしては大人しい印象だ」「他社のミラーレス一眼と比べて、飛び道具が少ない」と感じる人も少なくないようだ。

 写真ファンが感じているであろうこれらの疑問を、EOSシリーズのマーケティングを担当する開発者にぶつけ、カタログからでは知り得ない開発秘話やマーケティング戦略を取材した。

「飛び道具」的な装備がないといわれるが、実はちゃんと仕込んである

キヤノンマーケティングジャパン イメージコミュニケーション企画本部 カメラマーケティング部長の中村真一氏
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 今回インタビューしたのは、キヤノンマーケティングジャパンの中村真一氏。かつて大ブレイクしたフィルム一眼レフカメラ「EOS Kiss」以来、EOSシリーズのマーケティングを担当しているキーマンだ。

 “カメラ女子”をはじめとする一眼の入門者をメーンターゲットにしたEOS Mは、ボディーを小型軽量に抑えるとともに、操作ボタンの数や配置をコンパクトデジカメに近づけて扱いやすくしたのがポイント。それでいながら、最新のデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X6i」と同じ撮像素子や画像処理エンジンを採用することで、高画質も追求している。

 だが、他社のミラーレス一眼と比べると、飛び道具に欠けるという印象を受ける。ライバル機で評価されている「精細なファインダー」「複数のダイヤルによる軽快な操作性」「可動式液晶」などのプラスαの装備を盛り込んでいないことが大きい。デザインもきわめてオーソドックスだ。高速連写を特徴とするプロ向けデジタル一眼レフ「EOS-1D X」やフルサイズ一眼「EOS 5D Mark III」など、性能を追求した高性能デジタル一眼レフカメラで定評のあるキヤノンが満を持して投入した割には、おとなしくまとまりすぎていると感じられる。

 中村氏は、「確かに飛び道具が少ないという声もある。だが、キヤノンが一眼では採用していなかったタッチパネル液晶や、ライブビューや動画撮影時のスムーズなオートフォーカスが可能になるハイブリッドAFは、十分に飛び道具だと思っている。タッチパネル液晶は、スマートフォン並みのスムーズな操作が可能な静電容量式を採用しているし、ハイブリッドAFはAFセンサーを組み込んだCMOSセンサーを新規に開発したほどだ。それらの装備を搭載したEOS Kiss X6iがたまたま先に登場したため、EOS Mでのインパクトが薄れてしまった」と語る。

EOS Mは、中央部に位相差AFセンサーを組み込んだ特殊なCMOSセンサーを採用する。先に発売したデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X6i」と同じものだという
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液晶モニターは、3型のタッチパネル式を採用。スマートフォンと同じ静電容量式となっており、軽いタッチでスムーズに操作できる。マルチタッチでの拡大縮小にも対応する
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