キヤノンが満を持して発表したミラーレス一眼「EOS M」。撮影のフィーリングやAF性能など、購入検討者が気になる部分は数多く、「早く触ってみたい!」と思っている人は多いだろう。だが、まだ量販店などの店頭には実機が並んでおらず、試用できるのはもう少し先になりそうだ。
 先日開催された発表会に来場し、EOS Mの実機をいち早く手に取って試したカメラマンに、EOS Mの印象や感想をファーストインプレッションとしていち早くまとめてもらった。各カメラマンは、EOS Mを触ってどう感じ、今後に何を期待しているのだろうか?

物足りなく感じる装備は、初心者ユーザーの目線に立ったもの!
(吉村 永カメラマン)

 ついに発表されたキヤノンのミラーレス一眼。実際に触れた感想は「奇をてらうことなく、しっかりと作ってある端正なデザインだな」ということ。だが、実写してまず感じたのは、AFによるピント合わせの遅さだ。2年ほど前、ミラーレス一眼が登場したばかりのカメラと同等のAF性能だと考えればよさそう。とはいえ、暗めの室内でも時間がかかるものの、しっかりとピントが合ってくれることには感心した。

 特にいいなと感じたのが、タッチパネル液晶のレスポンスと感度だ。これだけ世の中にiPhoneをはじめとするスマホが普及している現在、感度の悪いタッチパネル液晶をデジカメに搭載することは、かえってストレスを招くだけ、というのが僕の持論だ。EOS Mの液晶は静電容量式のタッチパネルで感度もよく、再生画面では二本指によるピンチ操作で縮小拡大できる。レスポンスもなかなかの仕上がりで、ようやくデジカメのタッチパネル液晶も使いやすくなったなと感じた。

 とはいえ、業界最後発でなかなか姿を見せなかった期待のモデルだけに、「なぜびっくりするような新機能や新技術がないの?」と疑問に思っている人も多いはずだ。それは、入門者をターゲットにした新シリーズとして設定しているからだろう。あくまでもコンパクトカメラの延長線上として、入門者の使い勝手に応えた仕様なのではないかと思う。カメラファンがEOS Mの装備面で物足りなく感じる電子ビューファインダーや、前後2つのダイヤル操作などは、初心者ユーザーからすれば必要性が低いものだからだ。

 入門者向けに使いやすく工夫しながら、25年も継続しているシステムカメラブランド「EOS」ファミリーの一員であることこそが、EOS M最大のポイントだ。専用のEF-Mレンズを付ければ小型のカジュアルなカメラとして使え、かたやストロボやレンズなどのEOSシリーズの資産が自在に使い回せる懐の深さも兼ね備えている。最新デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X6i」と同じAPS-CサイズのCMOSセンサーを採用し、一眼ならではの高画質や独特のぼけ味もしっかりと追求している。

 「あんなに大きなレンズを付けると、小さなボディーの意味がない!」という声もある。だが、EOS MはAPS-C型のセンサーを採用しており、既存のレンズをEF-M用に再設計してもそれほど小さくできるわけではないだろう。定評のあるEFレンズが使えるメリットの方が大きい。

 EFレンズに限らず、デジタル一眼レフカメラ用の交換レンズは、カメラ本体より高価である場合がほとんどだ。それだけ高価なものが特定のシステムだけでしか使えないよりは、別のシステムのカメラでも自由に使える方がいい。マウントアダプター経由で望遠ズームレンズ「EF70-200mm F4L IS USM」を取り付けて試したところ、AFは確かに遅く、満足とまではいかない。だが、専用のパンケーキレンズ「EF-M22mm F2 STM」を装着した際のAFと比べて極端に遅い感じはなく、「これなら使える!」という印象を受けた。

 これまでのEOSユーザーには、手持ちのレンズが使える優秀なサブカメラとして、初めて一眼を手にするユーザーには将来的なステップアップも可能な小型・高画質モデルとして薦められる。僕は、最近使わなくなった「EF24mmF1.4L USM」のレンズを付け、38mm/F1.4相当のカメラとして、仕事ではない写真を撮るのに使ってみたい。気軽なスナップが、明るいレンズならではの雰囲気で切り取れるのではないかと思う。

(文/吉村 永)