この記事は「日経トレンディ2012年8月号(7月4日発売)」から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 ロンドンオリンピックを資金面で支える「パートナー」企業。多くの企業が広告宣伝費を圧縮する時代にあっても、五輪公式スポンサーの魅力はむしろ高まっているという。名乗りを上げた企業の狙いを探った。

 7月27日に開幕するロンドンオリンピックを目前に、五輪マークをあしらった宣伝が目に付くようになった。これらのマークを自社のマーケティング活動に利用できるのは、国際オリンピック委員会(IOC)や各国のオリンピック委員会(日本ではJOC)のスポンサーである「パートナー」企業だけだ。

 IOCの発表によると、スポンサー収入は右肩上がりに上昇を続けており、五輪の運営費のほぼ4割はこうした企業の協賛金で賄われている。世界中が注目する4年に1度の大イベントだけに、協賛金の額は莫大だ。IOCが最高位のスポンサーと位置づけている「TOPパートナー」の場合、1社当たり40億~60億円にも上るといわれている。これほどの額を投じて五輪パートナーとなる企業の狙いはどこにあるのだろうか。

 オリンピックのオフィシャルパートナーには大きく3種類ある。IOCと契約する「TOPパートナー」、各国のオリンピック委員会、日本の場合はJOCと契約を結ぶ「JOCパートナー」そして開催国の大会組織委員会と結ぶ「大会パートナー」だ。基本的にはいずれのパートナーも1業種1社に限定されている。与えられる主な権利は、TOPパートナーの場合、五輪マークと公式呼称のワールドワイドでの使用権。これに対して、大会パートナーは開催地だけ、JOCパートナーは日本国内だけで、それぞれのマークと公式呼称を使うことが可能になる。

■「パートナー」の種類と権利は大きく3つ
名称(権利元) 範囲 範囲主な権利 企業名
TOPパートナー
(国際オリンピック委員会)
世界 公式呼称の使用権、 五輪マークの使用権 コカ・コーラ、エイサー、アトスオリジン、ダウ・ケミカル、GE、マクドナルド、スウォッチグループ、パナソニック、P&G、サムスン電子、VISA
JOCゴールド
パートナー

(日本オリンピック委員会)
日本 公式呼称の使用権、JOCマークの使用権、シンボルアスリートの肖像権 アサヒビール、NTTドコモ、東京海上ホールディングス、トヨタ自動車、日本生命、ヤフー、味の素
JOCオフィシャル
パートナー

(日本オリンピック委員会)
日本 公式呼称の使用権、JOCマークの使用権 ミズノ、デサント、アシックス、コナミスポーツ&ライフ、クボタ、エクセルヒューマン、丸大食品、日本航空、全日本空輸、ロッテ、日清オイリオ、TBCグループ、読売新聞、ヤマトホールディングス、全国農業協同組合連合会、日清食品ホールディングス、大和ハウス工業、バスクリン、明治

 JOCパートナーには、協賛金6億円の「ゴールド」と2.2億円の「オフィシャル」の2種類がある。「ゴールドパートナーには、一部選手(シンボルアスリート)の肖像権の使用も認めている」(JOCマーケティング部)。例えば、09年からJOCゴールドパートナーとなったアサヒビールは、7月4日に発売したビール系飲料「アサヒジャパンゴールド」の監修をハンマー投げの室伏広治選手に依頼している。なお、この商品のパッケージにはJOCマークが付いているが、その場合は、パートナー契約とは別に料金を払ってJOCとライセンシー契約を締結する必要があるという。

09年にJOCゴールドパートナーとなったアサヒビールは、日本代表の室伏広治選手監修によるビール系飲料「アサヒジャパンゴールド」を発売。スーパードライなどで、選手の顔を使用した日本代表応援デザイン缶も展開している
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