出展した日本企業が明かす現場の感覚とは

 今春、日本から出展した企業は、ゴールデンダンス、スターリング、IDクリエイト、エアーズジャパンのわずか4社。地元香港の1071社、香港をのぞく中国の1230社、台湾の150社、韓国の34社と比べると非常に頼りない参加数となった。しかし、野心的な企業から学ぶべきことは多い。

 出展した日本企業のひとつ、骨伝導製品の企画、開発、製造を手がけるゴールデンダンスは、2008年にCESとCEATEC JAPAN、2009年にはCESとドイツの産業見本市Hannover Messeに出展。2009年のCESでは、「オーディオボーンAQUA」にて革新的なデザインや技術を持つ製品に贈られる“CESイノベーションアワード”を日本の中小企業では初めて受賞するなど、海外の見本市の経験は豊富だ。そこで、同社の中谷明子代表取締役に他の見本市との違いを聞いた。

 「(香港エレクトロニクス・フェアに来るのは)本当にバイヤーですね。物を探しているという感じがとても強い。会場での活気はビジネスに反映されており、今までいろいろな展示会に出展してきたなかでは、具体的な話になる度合いが高いと感じます。お客さまは場所柄、中国、香港の方が多いですが、アメリカ、ヨーロッパからもお越しになりました。日本のお客さまもみえています。なかには日本で弊社を見つけられずここでご挨拶できたというかたもいました」

 同社は、西日本高速道路メンテナンス関西と共同で骨伝導スピーカーとマイク、無線機を搭載するヘルメット、阿吽(ア・ウン)を開発。オシレーターによってヘルメット自体がスピーカーとなるため、騒音の多い作業現場でも聞き取りやすいほか、両耳を塞がずに通信が可能なため、周囲の音を聞きながら作業できるという利点もある。ゴールデンダンスは既に中国でも特許を取得。豊田通商の香港現地法人、香港豊田通商有限公司と手を組み、香港を拠点にビジネスを展開していくという。「新商品の時期に合わせながら今後も出展していきたいですね。商品をパッと知っていただくには、ここ(香港エレクトロニクス・フェア)はいいですよ」

ゴールデンダンスの中谷明子代表取締役。「やはり、メイド・イン・ジャパンは引きが違います。次回からは日本の技術であることをもっと前面に出していきたいですね」
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賑わいを見せるゴールデンダンスのブース。画像右に展示されている黄色のヘルメットが“阿吽”
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 一方、ラジオライトやアロマディフューザーの企画、製造を手がけるスターリングは、香港貿易発展局が主催するアジア最大の家庭用品展「香港ハウスウェア・フェア」にこれまで2度出展し、今年は香港エレクトロニクス・フェアへの出展を果たすなど、香港トレードフェアとのつながりは深い。同社業務企画部の吉井章人マネージャーは香港トレードフェアにおけるメリットに国際色豊かな来場者を挙げる。

 「日本の展示会に出展するほうが楽なのですが、日本ではまだ外国のお客さんが集まりにくい。欧米のお客さまは見かけますが、インドや東南アジア系は全く見かけませんよね。日本のギフトショーの場合、海外からのお客さんは1日に1000人いくかどうかといったところですから、東南アジアを含めてたくさんの国の方々に出会えるのは圧倒的に香港かなという気はしています」

スターリング業務企画部の吉井章人マネージャー。「香港ハウスウェア・フェア」と 客層が異なるため、今後は両フェアへの出展を検討しているという
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スターリングのアロマディフューザー「アロマミストポッド ICHIRIN」(上段中央)。和の色をモチーフにしたデザインは、欧州バイヤーの関心を引いた
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国内外を含め、今回見本市に初めて出展したIDクリエイト。液晶保護フィルムの製造を手がける同社は、多層構造やセパレート加工といった技術をうりに携帯電話市場の大きな中国、インドへの参入を狙う
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携帯電話やパソコンのアクセサリー製造及び販売を行うエアーズジャパンは、昨春に続いて2度目の出展。海外に打って出る際、アジアとの距離感を重視し、香港エレクトロニクス・フェアへの出展を決めたという
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