コスタクルーズ社の「コスタフォーチュナ」。イタリア-アメリカ間を定期的に運航していたイタリアの巨大な蒸気客船をイメージして造られたという
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 クルーズと聞くと、世界一周や長期間かけて巡る豪華旅行を思い浮かべる人も多いだろう。しかし今、クルーズ旅行は、5万円前後から楽しめるプランが増加中。ドレスコードやチップを気にすることなく楽しめるフリースタイルもあり、カジュアルな旅行がトレンドとなっている。また2012年はイベント性が加味されたプランも登場。

 現在のクルーズ人気の秘密を探ってみた。

大型客船利用のカジュアルクラス……国内旅行より割安か?

 2012年1月、イタリアの大型豪華客船「コスタ・コンコルディア」が座礁する事故が起きた。船長の判断ミスの可能性が強い特殊なケースではあったが、世界に衝撃を与えた。そのコスタ・コンコルディアには40数名の日本人乗客がいた。

 「イタリアやスペインを出発し、地中海やエーゲ海を巡るクルーズ旅行は、以前から日本でも人気がある」と話すのは、クルーズ旅行専門の旅行会社、クルーズプラネット。では、「コスタ・コンコルディア」の事故をきっかけに、クルーズ旅行や当のコスタクルーズの予約は減ったのだろうか。

 「事故直後にはキャンセルも出たが、すぐに回復。コスタクルーズも人気は変わらず、クルーズ旅行の中では人気ベスト3にも入るくらいだ」とクルーズプラネット担当者は話す。コスタクルーズは、ヨーロッパでもNo.1のバリエーションの豊富さを誇るクルーズライン。さらに、日本人コーディネーターが同乗するラインも多く、日本人に向けたサービスも充実している。そして今、日本で最も注目されている「カジュアルクルーズ」を持つクルーズラインなのだ。

 では「カジュアルクルーズ」とは何か。そもそもクルーズには、3つのカテゴリーがあり、客船のサービス内容と価格によってカテゴライズされている。

 まず歴史ある英国のキュナード社の「クイーンエリザベス」、日本郵船の「クリスタルクルーズ」、すべてが海側のスイートルームで構成される小型豪華客船を運航する「シルバーシー」、「飛鳥II」などはラグジュアリークラスと呼ばれる。豪華客船のなかの豪華客船ともされ、船のお食事・設備・サービスは超一流。ドレスコードもディナーの際はタキシードやカクテルドレス、着物などの服装が必要になるというものだ。

 アメリカを拠点とした「ホーランドアメリカ」、プリンセス・クルーズ、セレブリティクルーズなどがプレミアムクラス。ラグジュアリークルーズほどではないが、フォーマルを必要とする場面。しかし、初心者でもすんなり楽しめるクラスでもある。

 そして、イタリアの「コスタクルーズ」や、アミューズメント施設が充実し、アジア航路の多い「ロイヤルカリビアン」、ドレスコードやチップを気にせずに楽しめるフリースタイルを確立した「スタークルーズ」、「ノルウェージャンクルーズライン」、ヨーロッパ最大のクルーズ会社「MSCクルーズ」はカジュアルクラスと呼ばれる。ここ数年で急増したのがこのクラスで、タキシードなどの正装着用率も低めで、女性もカクテルドレスでなく結婚式出席程度の服装で問題ないなどの気楽さと、価格のリーズナブルさも人気の理由とされる。

カジュアルクラスでも1週間では利用しきれないほど充実設備

 しかし、カジュアルクラスといっても、船内の施設の充実度はラグジュアリークラスにひけをとらない。大型客船が多いため、アクティビティやエンタテインメントが充実している。プールやテニスコート、バスケットコート、ランニングコースなどのスポーツ面はもちろん、ショーを行う舞台やシアター、カジノなど。特にショーはラスベガスに劣らず豪華なものが多い。

 世界最大級といわれるロイヤルカリビアンの大型客船「アリュール・オブ・ザ・シーズ」では、公園、ショップが連なるアウトドアのアーケード、水中パフォーマンスを行える巨大な舞台などがそろい、中規模の街がそのまま海に浮かんでいる状態だ。「1週間ではすべてを利用しきれない」という。

 そしてクルーズの利点の1つに挙げられるのが、料金に食事代や船内でのほとんどのアトラクション利用料が含まれていること。これは当然、カジュアルクラスであっても同じ。船内では、お財布を持たずに気楽に過ごせるわけだ。

 一見いいこと尽くしのカジュアルクラスでのクルーズだが、もし、気になる点を挙げるとしたら、カジュアルクラスの大型客船は常ににぎやかだということ。静かに船の旅を楽しみたいという人は、ワンランク上のプレミアムクラスを利用したほうがいい。