東日本大震災直後、被災地を支援するために、現地の特産品を購入した人が多かった。各メディアも被災地のアンテナショップを取り上げ、いずれの店舗もかつてないにぎわいをみせたものだった。
 震災から1年。前回、震災2週間後に取材した各アンテナショップ(第1回第2回)を再び訪れ、その後の様子と、今お薦めの名産品について聞いた。

石巻「希望の缶詰」が復活!――宮城ふるさとプラザ

 池袋の駅前繁華街の人気スポットでもある「宮城ふるさとプラザ」。震災直後同様に、1年たった今でも大勢の客でにぎわっていた。

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宮城ふるさとプラザ
●住所/東京都豊島区東池袋1-2-2東池ビル1・2F
●電話/03-5956-3511
●営業時間/11:00~20:00
●公式サイト/http://cocomiyagi.jp/plaza/
●義援金は2月下旬までで約2600万円


イベントコーナーも賑やか。震災前から冷凍保存していた貴重な金華さばやイボダイなどの粕漬や西京味噌漬が飛ぶように売れていた
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 震災直後から7月は、前年の約2倍の売上を数えた盛況ぶり。当時から海産物以外の加工品やお菓子、楽天イーグルスのグッズなど充実した品揃えであったが、それがそのまま順調に回復したわけではない。工場や倉庫が被災を免れたメーカーは、在庫の商品や材料でいち早く操業を再開したものの、その在庫が尽きたときに、材料の入手が困難になったり、また高騰するなど、なかなか震災以前と同様の運営には至らなかった。

「笹蒲鉾」
宮城名物といえば笹蒲鉾。震災を機にこれまで取り扱いのなかったメーカーの蒲菊も増えた。右からたら、いとよりなどの白身魚を原料に遠赤外線の炉でじっくり焼き上げた香ばしく、ソフトな食感。千代150円。阿部蒲鉾店。大正元年創業の老舗の極上笹かまぼこ178円。祝い魚として知られる高級魚吉次をつかった笹蒲鉾168円。高政
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「ずんだ餅」
自家生産みやこがね米のつきたてもちに枝豆あんをまぶしたずんだ餅。津波により、「ずんだ」の原料の枝豆を失ったが、工場内に在庫 していた「ずんだ」を利用し、昨年4月初めより生産した。735円。もちべえ
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「松島ビール」
宮城県第1号の地ビール「松島ビール」。ドイツから直輸入した設備 とドイツ人ブルーマイスターの醸造技術による本格派。伊達政宗麦酒ヴァイツェン、片倉小十郎麦酒ケルシュ、支倉常長麦酒ピルスナーの3種類。各450円。サンケーヘルス
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「ほやの塩から」
三陸・宮城はほやの生産量日本一。旬の時期のみのほやを早朝水揚げしてから約10時間以内にむき身にし、下処理した後、急速冷凍しているので臭みや苦味が少ない美味。840円。横田屋本店
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 しかし、現在ではそれも乗り越え、震災直後は入荷ゼロだった同プラザの人気商品、笹蒲鉾が棚にぎっしり並んでいる光景はとても感慨深いものがある。「震災以前は取り扱っていなかったメーカーの笹蒲鉾も増えて、よりラインナップが充実しました」と語る宮城県物産振興協会東京出張所長代理の上野剛氏が笑顔で手に取ったのは鯨の缶詰だ。

避難所の人々の胃袋を満たした「裸の缶詰」

 被害の大きかった石巻と気仙沼の商品は、まだ入荷していないものも多いが、この鯨の缶詰は、石巻の木の屋石巻水産のもの。

「鯨大和煮、長須鯨の須の子 大和煮」
震災により工場は全壊、社屋も被害を甚大な被害を受けた「木の屋石巻水産」が缶詰の生産を再開。調査捕鯨事業の副産物として原料を使用している貴重な鯨の赤身を、無添加醤油と粗糖で甘辛く煮た鯨大和煮500円と長須鯨の須の子 大和煮945円。木の屋石巻水産
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 津波により同社の工場は跡形もなく流されたが、瓦礫の下から大量の缶詰が発見された。津波の影響で包装が剥がれた裸の状態の缶詰だったが、まだ支援物資も充分に行き届かなかった震災直後の糧として、避難所の多くの人々の胃袋を満たした。

 その後も同社の社員は缶詰を磨いて、千葉県、鳥取県などの道の駅で裸の缶詰を「希望の缶詰」として販売した。その裸の缶詰が、最近ようやく以前同様の包装された状態で店頭に並んだのだ。気仙沼のフカヒレも仮工場などで稼働したメーカーの商品が徐々に並び始めている。

右は気仙沼産の「ふかひれ」を使用し、鶏・豚ガラベースで魚介類や香味野菜の風味を生かした濃縮タイプ。ふかひれ濃縮スープ。気仙沼ほてい315円。左はフカヒレ専門店の老舗。仮工場で生産を再開。濃厚な味わい。ふかひれ濃縮スープ。840円。石渡商店
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 以前から産地直送の店頭販売が好評の同プラザだが、取材時は松島で被災した料亭が、被災前の在庫素材を加工した魚のみりん漬などを販売していた。この業者もそうだったが、震災を機に改めて同プラザに商品を卸すメーカーが増えている。

 同時に震災を機に宮城県の特産物のファンになった新規客も多い。「お客様をはじめ、義援金を預けてくださった方、また『募金をされた方に差し上げてください』と手作りの手芸品をお持ちくださった方など、多くの方々の様々な応援に感謝しています」(上野氏)。

「社のミサンガ青葉」
避難所や仮設住宅で編んでいる手編みのミサンガ。全国一律1000円の内訳は製作者に500円、材料費が100円、輸送経費と交通費が200円、ボランティア活動費200円となっている。手書きのメッセージが添えられている。1000円
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「さんまのつくだ煮」
鮮度のよいさんまを小さな工房でじっくりと時間と手間をかけて手作りした逸品。「全国水産加工たべもの展」(2005年)で水産物佃煮部門で最高賞の農林水産大臣賞。味噌味と醤油味がある。420円。ケイ
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