また“花粉の季節”がやってきた。

 花粉症対策にはさまざまな方法がある。外出時にはマスクなどの対策が一般的だが、屋内で、せめて自分の部屋の空気だけでも花粉を除去したいと考えたとき、空気清浄機は1つの有力な選択肢だ。いまどきの空気清浄機は、どれくらいの実力を持っているのか。昔に比べてその機能や能力はどのように進化してきたのか。先日、京都大学との共同研究で「スギ花粉のアレルゲン以外にもヒトの細胞に対する有害性を持つこと」を実証し、これまでも花粉の実験に取り組んできたダイキン工業 滋賀製作所を訪問し、空気清浄の最前線の実態を探ってみた。

時代のニーズに合わせて空気清浄機も進化してきた

 いま空気清浄機にいちばん求められている機能は何だろうか?

 「最近のお客様のニーズは『できるだけ“早く”空気をきれいにしたい』ということ。そのため、近年、空気清浄機の空気を吸い込む力、つまり“風量”がどんどん上がっています」。業務用から家庭用まで空気清浄機の製造を手掛けるダイキン工業の滋賀製作所 空調生産本部商品開発グループの小田泰弘氏はこう答えた。

 実際に、どれくらいの時間で花粉やホコリを除去することができるのだろうか。「8畳くらいのお部屋なら、10分もあればほとんどの花粉やホコリを取り除くことができます」(小田氏)という。

 「できるだけ早くホコリや花粉を取り除く」というのは、今のトレンドにかぎらず、昔から「空気清浄機」に求められる最大のテーマだったのでは? この疑問については同グループの榎田達海氏が答えてくれた。

 「テーマは時代によって違います。空気清浄機は、その時代、時代のニーズに合わせて、進化を続けてきたのです。実際、1975年に当社が最初に販売した業務用空気清浄機の主な目的は『煙草の煙と匂いをいかにして取り除くか』でした」

ダイキン工業 滋賀製作所 空調生産本部商品開発グループの榎田達海氏(左)と小田泰弘氏(右)

タバコから生活臭、ウイルスへとニーズは変わった

 空気清浄機は時代のニーズとともに、どのような変遷をとげてきたのだろうか。それを探る前に、基本的な仕組みをおさらいしておく。

 空気清浄機の動作原理を非常に大雑把に言うと、室内の空気を吸い込んでホコリや花粉などの微粒子をフィルターでこしてきれいにし、再び室内に戻すというものだ。より細かい粒子をこし取るには目の細かいフィルターを使えばよい。しかし使用を続けているうちにフィルターはこし取った粒子で目詰まりを起こし、吸い込める風量は低下してしまう。目を粗くすれば、風量の低下はゆるやかになるものの、捕獲できる粒子も大きなものに限られるという傾向がある。

 風量の確保と細かい粒子の吸着の両立を狙った方式として、「電気集塵」方式がある。フィルターを通過する前の粒子に高電圧をかけて帯電させて、フィルターに電気的に“吸い着きやすく”するというものだ。フィルターだけのタイプに比べ、目の荒いフィルターを使うことができ、大風量を長期にわたって確保するのに向いている。一方で、粒子を帯電させるための電極部分が機構的に必要になるため、装置が大きくなるという弱点もある。