※この記事は日経エンタテインメント!(3月号)の記事を転載したものです。購入はこちら

 昨年10月27日、アニメ制作会社「サンジゲン」「トリガー」「オース」の3社が共同出資した新会社「ウルトラスーパーピクチャーズ」が設立され、アニメ業界に大きな驚きを持って迎えられた。

 いずれも起業してから5年前後の若い会社で、サンジゲンは『TIGER & BUNNY』の強化スーツなど3DCGを用いた表現が得意な制作会社。トリガーは『新世紀エヴァンゲリオン』などを手がけた実力派スタッフ陣が11年に設立。オースは『かんなぎ』の監督も務めた山本寛氏が率いる。この3社のほか、キャラクターのフィギュアなどを手がけるグッドスマイルカンパニーを含め、アニメ関連ビジネスで注目される新興企業5社が加わった。

まつうら・ひろあき
株式会社ゴンゾ、フリーランスを経て、2006年に株式会社サンジゲンを設立

 あえて、共同で新会社を立ち上げた目的は何か。サンジゲン代表取締役社長であり、ウルトラスーパーピクチャーズ代表取締役社長も兼任する松浦裕暁氏によれば、狙いは大きく2つあるという。

 「1つは、優れた作品づくりを続けられる体制を整えること。もう1つは、2Dと3Dが融合した作品の制作です。形式的にはホールディングスですが、3社の上に立つわけではなく、むしろ3社の制作環境を整える“下支え”と考えています」(松浦氏、以下同)

 実際には、現場の3社による従来のコンテンツ制作体制は変わらず、新会社が各社の知財管理、広報、ファイナンスなどを一手に展開することで、3社は制作に専念できる。

 この新体制を推し進める背景には、アニメを取り巻くビジネスモデルの問題がある。日本のアニメ作品は表現力も技術力も他国の追随を許さないが、激しい価格競争や市場規模などが原因で、制作現場は疲弊しているという。

 「いくら技術が優れていても、狭い市場だけで勝負していては頭打ちになってしまう。それに、売れた分は現場に還元するシステムが必要。良い作品ができればそれだけの利も得られ、モチベーションが上がって次の作品へ…という好循環を生み出さないと、後を引き継ぐ若者たちが離れていってしまう。そこで、作品のライセンスも含めて海外も視野に入れて多角的に展開するために、異業種にも参加してもらっている」

 パッケージで資金を回収する従来のビジネスモデルは、小規模な会社であるほど成立しにくくなっている。そのため、新会社ではお互いバックアップしつつ、資金も回収していくのが狙いだ。