ソニーの密閉型インナーイヤーヘッドホン「XBA」シリーズの販売がようやく始まった。本来は2011年11月の発売予定だったが、タイの洪水被害の影響により発売が延期されて、約1カ月遅れの市場投入となった。
このシリーズで新しいのは、ソニーがやっとバランスド・アーマチュア型(以降BA型)のドライバを採用したことである。
従来はダイナミック型と呼ばれるドライバ(ヘッドホンの音を鳴らす機構)が主流を占めていたが、高級イヤホン市場における主流はBA型に移りつつある。BA型は再生音の解像度が高く、ドライバが小さい。iPodのヒットで遮音性の高いカナル型イヤホンの需要が高まったが、耳の中に入れるこのタイプのイヤホンには、小さなBA型は最適だった。
日本では2000年の初頭にエティモティック・リサーチの「ER-4」の輸入販売が始まって以降、マニア層を中心にこのタイプの製品は人気を集めてきた。今では国内外を問わず、大抵の有名メーカーはBA型ドライバの製品をラインアップしている。このドライバがなければ、現在の高級イヤホン市場は成立しなかったかもしれない。
しかし国内市場で大きなシェアを持つソニーは、大口径のダイナミック型をラインアップの頂点に据え、高級イヤホン市場のトレンドはまったく眼中にないように見えた。ところが開発力のあるメーカーが本気を出したら怖いと言うべきか、ヘッドホン市場の勢力図を塗り替えそうな勢いで一気にBA型を展開してきたのが、今回の新シリーズ「XBA」というわけだ。
多くのメーカーは外部からBAドライバを調達しているが、ソニーは自社でオリジナルのBAドライバを設計し、国内で製造している(ヘッドホンとしてのアセンブルはタイで行っているため、市場投入が遅れたらしい)。この段階で気合の入りようが違うわけだが、驚いたのはその価格である。
今までのほぼ半額で手に入る高級イヤホン
| 型番 | 実勢価格 | 発売日 |
| XBA-1SL(XBA-1IP) | 5980円前後(6950円前後) | 2011年12月10日 |
| XBA-2SL(XBA-2IP) | 1万3500円前後(1万4800円前後) | 2011年12月10日 |
| XBA-3SL(XBA-3IP) | 1万9800円前後(2万800円前後) | 2011年12月10日 (2012年2月10日) |
| XBA-4SL(XBA-4IP) | 2万2900円前後(2万3600円前後) | 2011年12月10日 (2012年2月10日) |
一番安いシングルドライバのモデルは実勢価格5980円前後。BA型ドライバのイヤホンで1万円を切るものは珍しい。さらに割安感のあるのが、低域や高域専用のユニットを設けたデュアルドライバ、トリプルドライバの高級モデルだ。
デュアルドライバの場合は、競合するオーディオテクニカの「ATH-CK10」が2万100円前後、シュアーの「SE425」が2万9800円前後。トリプルドライバでは、オーディオテクニカの「ATH-CK100」が3万1400円前後、シュアーの「SE535」が4万4800円前後。
ところがトリプルドライバのXBA-3SLは1万円台の後半。ドライバが1基多いクアッドモデルのXBA-4SLですら2万2900円前後で、他社のトリプルドライバより安いのだ。同じクワッドドライバでも、最近発売されたWestoneの「4R」という製品の価格は4万4000円前後である。
もちろん安かろう悪かろうでは決してない。発売前からXBA-4IPを試用させていただいていたが、音の作り込みから言って、てっきり5万円くらいの設定になると思っていたので、実勢価格を聞いて本当に驚いてしまった。これは高級イヤホンの価格破壊と言っていい。
何故こんなに安いのか。そしてなぜBAドライバを開発したのか。ソニーのパーソナルイメージング&サウンド事業本部の鈴木貴大氏に話を聞いた。











