スマートフォンやタブレットなど、どこからでもニュースを読めるモバイル端末の普及に伴い、新聞産業が大きな変革を迫られている。そこで重要な役割を果たすと見られるのが、次世代ウェブ標準技術のHTML5だ。
元々、ホームページ制作用のマークアップ言語として開発されたHTMLは、その第5版となるHTML5で、アプリケーション・プログラム(アプリ)の開発基盤へと変身を遂げた。HTML5を使って制作されるアプリは「ウェブ・アプリ」と呼ばれ、従来のネイティブ・アプリと対比して語られる事が多い。ネイティブ・アプリが端末のOS(基本ソフト)上で動作するのに対し、ウェブ・アプリはブラウザー上で動くのが最大の特徴だ。
ここに来て新聞業界でも、HTML5で作ったウェブ・アプリを使ってニュースを配信する企業が増えて来た。その主な理由は、ウェブ・アプリにしておけば、どんなメーカーのどんなモバイル端末上でも動くので、ニュースの露出を最大化できること。またiPhone(iOS)やアンドロイドなど特定のプラットフォームに拘束されないので、ビジネスの自由度が高まることも理由として挙げられる。
世界の主要な新聞社の中でいち早くウェブ・アプリを導入したのが、英国の経済紙Financial Times(FT)だ。以前からiPhoneやiPadに向けてネイティブ・アプリを提供してきたFTは、今年6月にウェブ・アプリによるニュース配信も開始した。その利用者が100万人に近づいた8月、FTはiPhoneやiPadから同社のネイティブ・アプリを引き揚げ、すべてのニュースをウェブ・アプリから提供し始めた。この理由はネイティブ・アプリだと、読者から徴収するニュース購読料の30%をアップルに支払わねばならないからだ。これを嫌ったFTは、逆にそうした制約のないウェブ・アプリへと乗り換えたのである。











