7月の地上波デジタル移行に伴う買い替え需要が過ぎ去り、テレビ製造業がかつてないほど深刻な不況に陥っている。果てしなく値崩れする製品と積み上がる在庫を目の前に、家電業界では「このままテレビ事業を継続する意味があるのか」という悲観論が聞かれる。が、その一方で、難局打開に向けてテレビ受像機の新たな価値創造に向けた取り組みも進んでいる。その一つがウェブとテレビの融合、いわゆる「ウェブTV」だ。
これまでウェブTVは家電業界内で「筋の悪い製品」と見なされてきた。既に1990年代半ばには、米国のベンチャー企業がテレビでウェブをブラウジングする端末を開発している。それ以降、この種の試みは何度も繰り返されているが、目覚ましい成果を上げた製品は皆無である。最近では、昨年10月に米国で発売されたGoogle TVがあるが、これまでのところ鳴かず飛ばず(Google TVは2011年10月にGoogle TVをバージョンアップした)。またSamsungやLGなど韓国メーカーが提供するウェブTVも、特にヒットしているという噂は伝わってこない。
しかし、今この流れが大きく反転しつつある。家電メーカーがようやく、ウェブTVに本腰を入れ始めたのだ。これについて、ノルウェーに本拠を置くブラウザー・メーカーOpera Softwareの日本駐在員は次のように手応えを語る。
「これまで欧州や日本の家電メーカーに対し、我々のブラウザー(Opera)をテレビにインストールするように働きかけてきたが、それに応じてくれたのは東芝CELL REGZAなどごくわずかの製品に過ぎなかった。ところが今年に入ると各社の対応が一変し、我々との交渉にも極めて前向きになった。少なくとも供給サイドから見た場合、今後、(製品開発に要する)12〜18カ月を経て、ウェブTVは本格的に離陸するだろう」(Opera Software InternationalのWeb Evangelist、Daniel Davis氏)
こうした反転の背景には、家電業界がこれまでたどってきた経緯がある。2010年に公開された映画「アバター」の大ヒットの前後から、家電メーカーは3Dテレビに巨額の開発資金を投入してきたが、期待したほどの需要を喚起できなかった。このため戦略の練り直しを迫られたメーカーには、2つの道が提示されている。一つは「4K」のような、さらなる高画質の追及、もう一つはテレビのネットワーク化、なかんずくテレビとウェブの融合である。











