CINEMA EOS SYSTEMを手にするキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏(左)と、キヤノン 電子映像事業部長の枝窪弘雄氏(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 2011年11月4日、キヤノンが映画業界向けのシネマビデオカメラシステム「CINEMA EOS SYSTEM」を発表した。御手洗冨士夫会長が「歴史的な新製品」と銘打って披露したことからも、この製品に対しての意気込みがうかがえる。新製品の概要をチェックしつつ、キヤノンが描く戦略を紐解いてみたい。

EOS 5D MarkIIの成功を受け、動画撮影に特化した製品を開発

発売開始から3年を迎えるキヤノンの「EOS 5D MarkII」。デジタル一眼レフカメラながら、プロが動画撮影を目的に導入するケースも少なくない
[画像のクリックで拡大表示]

 キヤノンは、2008年11月発売のデジタル一眼カメラ「EOS 5D MarkII」で、35ミリフルサイズの撮像素子による美しいフルHD撮影を可能としていた。豊富な写真用レンズを使える便利さと、通常の映画用シネカメラよりも大きなセンサーとの組み合わせによる独自の立体感とぼけ味を持つ映像は、たちまち映像クリエイターの間で話題になった。現在では、音楽PVやテレビCM、映画などの撮影に使われるようになっている。

 とはいえ、あくまでも写真撮影用のカメラの付加機能として搭載した動画撮影機能であり、多くの現場では使い勝手の面で満足がいくものとはいえない。さまざまな社外アクセサリーを組み合わせたり、カメラやレンズを改造することで使われているのが現状だ。動画撮影時にはのぞき込み式のファインダーが使えない、ピントリングが無限回転式なので決まった距離にぴたりとフォーカスを合わせにくい、といった現場からの要望の声がキヤノンに寄せられ、本格的な映像用カメラの開発を望む声が高まっていた。