※この記事は日経エンタテインメント!(11月号)の記事を転載したものです。購入はこちら
『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』
連続殺人事件に巻き込まれた律子のもとに、同じく事件の被害者だった雛子が現れて…。少女たちを主人公に描く、近未来ミステリー。(講談社)※写真は単行本の表紙
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 映画化もされた長編「百鬼夜行(京極堂)」シリーズなどを持つ人気作家・京極夏彦が、新作『ルー=ガルー2』(講談社)を、単行本、ノベルス(新書判)、文庫、電子書籍の4形態で、10月14日に同時刊行した。京極は、昨年は、『死ねばいいのに』(講談社)をいち早く電子版と単行本を同時発売し話題になった。今回試みた、4形態発売の意図は? また、続く出版不況に対し何を思うのか。本人を直撃した。

 あまり「新しいこと、変わったこと」という意識はないんですよね。海外だとハードカバーとペーパーバックは同時に発売されますし。インターバルを設けて徐々に値段を下げるって、二度売りするような感覚だし、スーパーが売れ残った商品をリパックして売るみたいで、何だかいい印象がないし。

 判型の違いは、ニーズの違いで価値の差ではない。単行本、新書判、文庫にはそれぞれの役割があって、その機能や特性に応じたユーザーがいるというだけです。僕の場合、文庫本も厚かったりするので、分冊文庫を別に出しているのですが、06年からは2スタイル同時発売にしています。当初は「分冊を同時に出すと一冊本が売れなくなる」という声が出版社内で出て、抵抗があった。でも成績は変わりませんでした。同じ文庫本でさえ、購買層が違うんですね。

 異なったプレゼンテーションのパッケージを並べて、好みに合わせて選んでもらうのは、別に新しくもないし変でもない。それぞれの特性が生かされた商品作りをしていれば、各ユーザーにきちんと届くはずです。広告費を多く捻出できるし、宣伝展開もしやすいなどメリットもある。顧客の拡大につながりこそすれ、それで縮小することはないんじゃないですか。