「日本人ランナーのランニングシューズはこうあるべき!」

 90年代初頭にスポーツショップのバイヤーやシリアスランナーが頻繁に発していたこの言葉が示すように、ひと昔前のランニングシューズの売れ筋はかなり偏っていた。それは現在ほど走る人が多くなく、平均すると走力レベルも高かったことなどが大きな理由だ。

 当時の売れ筋ランニングシューズは軽量でミッドソールの薄いタイプが主流で、アッパーのカラーリングはホワイトにレッドやネイビーブルー、ロイヤルブルーのアクセントカラーを組み合わせるのがほとんど。これ以外の配色は受け入れられないといった印象さえ感じられた。スプルース(グリーン系)、マゼンタ(ピンク系)、ぺリウィンクル(ブルー系)、チャートリュース(グリーン系)のような欧米を起源とするカラーリングは、エアロビクスやフィットネスといったカテゴリーでは受け入れられたものの、ランニングカテゴリーでは定着せず、ナイキ、アディダス、リーボックといった海外ブランドは、日本向けにカラーコンビネーションをアレンジした「スペシャルメイクアップモデル」をリリースすることも珍しくなかった。

 こうした日本人ランナーの道具に対する一種独特なこだわりはシューズに対してだけでなく、気に入ったソックスがあれば買いだめし、シューズとソックスの微妙なフィッティングをキープすることに努めたりするような行動も珍しくなかった。さらに「縫製部分が肌に擦れないように処理してなかったらダメ!」とアパレルのディテールに対するこだわりも強く、どちらかいうとデザイン重視だった海外ブランドのランニングアパレルを頑なに拒否するランニングプロショップのバイヤーも珍しくなかった。

 しかし、あれから20年ほど経過。ランニングは一過性のブームを超越し、現在ではライフスタイルの一部として根付いている。特にランニング人口が飛躍的に増加したここ2、3年で、日本においてもカラフルなランニングシューズが増え、良好なセールスを記録。カラフルなシューズのシェアが高まっている。