日経トレンディ

 この記事は2011年8月4日発売の「日経トレンディ9月号」から転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 東日本大震災後に多くの消費者が関心を寄せたのが、万一のときに多額の保障を期待できる保険だ。貯蓄だけに頼っていては、家族の命や住居が失われた後、以前と同じ生活を営むのは難しいと証明されてしまったからだ。

 地震や津波で被害を受けた場合、通常の火災保険や自動車保険(車両保険)に加入していても補償されない。公的な支援として最大300万円は支払われるが、生活を再建するのに十分とはいえない。そこで考えられるのが、地震保険か、地震などの被害を補償する共済に加入するという選択肢だ。原則的に重複しての加入はできないので、どちらかを選ぶことになる。

 地震保険は、国が民間の損害保険会社の後ろ盾となって共同運営する仕組みなため、どの損害保険会社で加入しても違いはない。火災保険とセットでなければ加入できないので、「自分のニーズに合った火災保険を選び、その損害保険会社で地震保険に加入すればよい」(損害保険に詳しいファイナンシャルプランナーの平野敦之氏)。

 地震保険に加入しても、被災したときに支払われる補償額には上限があり、ぜいたく品なども対象外になるため、それまでの生活を完全に再建できるわけではない。それでも、「住宅ローンを組んで自宅を買い、その残債が多く残っていて貯蓄も少ない人は、加入を検討したほうがいい」と生活設計塾クルーの内藤眞弓氏は指摘する。

 特に比較的新しいマンションに住んでいる人は、地震保険の割引制度を活用できる余地が大きいので、安い掛け金で地震保険に加入できる可能性が高い。例えば、国の基準にのっとった免震建築物である場合は30%、国が定めた耐震等級に該当していれば、その等級に応じて10~30%、重複は認められないが割引される。

●公的支援(被災者生活再建支援制度)
基礎支援金(被害程度による) 全壊の場合 100万円 加算支援金(再建方法による) 住宅を建設・購入する場合 200万円
大規模半壊の場合 50万円 住宅を補修する場合 100万円
注)公営住宅を除く。単身者世帯の場合、金額は4分の3に 賃貸住宅を借りる場合 50万円
●自助努力(地震保険or共済)
4つのなかから1つ選択   地震保険
(民間損害保険会社)
内容、保険料は一律で、どの損害保険会社で加入しても違いはない
建物への補償と家財道具への補償に分かれ、両方加入でも片方加入でもよい
火災保険とセットで加入しなければならず、それぞれ加入する火災保険金額の30~50%までの金額、かつ建物5000万円、家財道具1000万円を上限とする
損害の大きさによって補償額が決まる(全損、半損、一部損)
建物の構造や所在地によって、地震保険料が異なる
 
共済 自然災害保障付
火災共済
(全労済、CO・OP共済)
住宅の坪数などに応じた口数で加入し、地震や津波などで住宅が損害を受けた場合、損害の大きさによって定められている1口当たりの共済金に契約口数を掛けた金額を受け取れる
全労済には、共済金が1.5倍になる大型タイプがある
セットで加入する火災保険金額の20%(大型タイプは30%)までの金額を上限とする
新型火災共済
(都道府県民共済)
住宅が半壊・半焼以上の損害を受けた場合(建物の損害額が建物全体の時価の20%を上回る場合)、契約した金額の5%を地震等見舞共済金として受け取れる(上限300万円)
住宅の被災で、加入者または加入者と同一世帯に属する人が、死亡したり、重度の障害を受けたりした場合、1人につき100万円の地震等見舞共済金を受け取れる(上限500万円)
建物更生共済
(JA共済)
加入した保険金額の5%以上の損害を住宅が被った場合、損害額の割合に応じ、損害額の50%を上限とした自然災害共済金を受け取れる

■変更履歴
公開当初、当ページの表と次ページの本文で「建物更正共済」とありましたが、「建物更生共済」の誤りでした。該当箇所は修正いたしました。お詫びして訂正いたします。[2011/08/26 18:50]