乗り換えは用途を明確にする

 それでは、あえて電動スクーターを選ぶメリットは何か。最大の理由は、走行に必要なガソリン代と比べて、電気代が安いことだ。

 電動スクーターの走行コストは、ガソリンを使用するスクーターに比べると約10分の1。1円で約3km走れる計算だ。「電気料金の安い深夜に充電すればより安くなる」(エネクスオート)といい、電力不足に及ぼす影響もほとんどない。片道5~15km程度の範囲で、通勤や通学などで決まったルートを日常的に1人で移動するなら、自動車や自転車から電動スクーターに乗り換える価値はある。

 ただし、電動スクーターは自動車免許だけでも手軽に乗れる半面、法律で1人乗りに限定される。子供を送迎するなど2人で乗りたいなら、小型自動二輪免許以上が必要なモーター出力の大きいタイプか、電動アシスト自転車が選択肢になる。

 実際に電動スクーターを選ぶ際に留意する点は、加速感や乗り心地だけではない。チェックすべきことは、大きく分けて4つある。

 まず、実質的な走行距離を見極めること。というのも、カタログ上の走行距離は、一定の条件を満たした場合の数値。実際の走行時には坂道や信号などがあるので電力消費が増え、実際に走行できる距離は30~35km。つまり、片道15km程度になるからだ。坂道の多い地域では、モーター出力の小さいモデルでは坂を上れない可能性もあるので、要注意だ。

 2つ目は、充電方式とバッテリー。本体に電源ケーブルを直接つなぐプラグイン式と、バッテリーを本体から取り出して充電できるカートリッジ式がある。充電できる場所は自宅や職場などに限られるので、集合住宅で部屋まで本体を運べない場合は、カートリッジ式を選択する。

 バッテリーの種類は、大きく分けてリチウムイオンと鉛の2種類ある。低価格モデルが採用しているのは安価な鉛バッテリーだ。2万~4万円で交換できるが、充電可能な回数が300~500回程度と少ないのがデメリットだ。リチウムイオンは高価だが、性能が高く、充電できる回数が2000回程度で寿命も長い。交換用バッテリーは7万~10万円と高価なので、予算に応じて選びたい。

バッテリーの違いが重量の差に表れた

機種名(メーカー・販売元) 重量 モーター定格出力 走行距離 最高時速 登坂性能 バッテリー
種類 容量 電圧 充電時間 取り外し
高性能モデル EC-03(ヤマハ発動機) 56.0kg 0.58kW 43km*1 非公表 9度 リチウム
イオン
14Ah 50V 約6時間 不可
SC425F(スクーテックジャパン) 95.7kg 0.6kW 35~45km 52km/h 11度 24Ah 48V
(12V×4個)
7~9時間 不可
ER50-A15(エネクスオート) 52.5kg 0.59kW 53km 52km/h 10度 リチウム
イオン
15Ah 48V 約3時間
お手頃モデル SEED48(テラモーターズ) 86.0kg 0.6kW 35~45km 45km/h 10度 シリコン*3 20Ah 48V
(12V×4個)
7~9時間 不可
プロッツァ ミレット(プロスタッフ) 59.0kg 0.35kW 35km*2 37km/h*4 6度 12Ah 48V
(12V×4個)
約8時間
電動ecoスクーター タイプC(東京マルイ) 70.0kg 0.6kW 40km 40km/h 約9度 12Ah 48V 6~8時間
注)*1 時速30kmでの平地走行テスト時。標準モード使用。積載重量55kg、気温25℃、路面乾燥、無風時。*2 時速30kmでの平地走行テスト時。積載重量60kg、気温25℃。*3 鉛バッテリーの一種。*4 プロスタッフによる実測参考値

 3つ目は品質。特に輸入品は、日本の保安基準を満たしているかがポイントになる。基準への適合性検査済みであることを示す「PSEマーク」があるか、メーカー保証が付いているかなどを確認するといい。

 4つ目はアフターサービスだ。電動スクーターにはエンジンオイルが不要で、日常のメンテナンスはかなりラクだが、パンク修理やバッテリー交換などは欠かせない。売りっぱなしの販売店もあるので、アフターサービス体制もチェックしたい。

 例えば、テラモーターズは、業務用スクーターのメンテナンスを手がける企業と提携。エネクスオートやプロスタッフは、ガソリンスタンドでも販売とアフターサービスを行う。家電製品や自転車と同じ感覚で購入すると、予期せぬ故障の際に困るので注意が必要だ。

 今後はハードな用途に使える業務用や、よりパワーがあるモデルも増えてくる。バッテリーの改良も進み、数年後にはリチウムイオンの価格も大きく下がる見込みだ。電動スクーターの価格は下がり、一層の普及が見込めるだろう。いち早く利便性を享受するという選択肢もあるが、価格の下落を待ってから購入するという手もある。

(文/根本 佳子、写真/山本 琢磨、古立 康三、近森 千展)

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