日経トレンディ

 この記事は2011年6月4日発売の「日経トレンディ7月号」から転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 電動スクーターの本格普及が目前に迫っている。矢野経済研究所の予測によると、電動スクーターを含む電動二輪車の国内市場は2010年に9000台だったが、2015年は9万5000台と10倍以上に伸びる見込みだ。環境意識の高まりや高止まりするガソリン価格に加えて、低価格化や販売ルートの多様化も後押しする。

 電動スクーターは高価であるというイメージを覆したのは、10万円を切る「SEED48」を昨年発売したテラモーターズ。充電器は別売りだが、「電動スクーターを普及させるために戦略的な価格を設定した」(テラモーターズ)という。

 東京マルイは、充電器込みで10万円以下と、さらに安いモデルを投入した。ガソリンエンジンを搭載したスクーターに近い価格帯の商品がそろい、普及に弾みが付いた。

 実際、東日本大震災後、テラモーターズには、被災地だけでなく首都圏からも注文が殺到したという。「月に30~50台だった販売台数が、3月は250台に伸びた」(テラモーターズ)。

 販売ルートも多様化している。従来は、二輪車専門店やインターネットによる直販が中心だった。ここ1年で家電量販店やガソリンスタンドでも扱うようになり、実物を目にしたり試乗したりできる機会が増えた。特にガソリンスタンドは、新しい取扱商品として電動スクーターに熱い視線を送る。常駐するメカニックがメンテナンスを行えるし、登録代行を手がければ手数料収入が期待できるからだ。

 現在、国内で販売されている電動スクーターの多くは中国製。中国は電動スクーター市場が年間2000万台と大きく、メーカーも多いからだ。だが「中国から輸入されている製品の一部で、法定の保安基準を満たしていないものが販売されている」との声も上がるなど、品質と安全性への不安は少なくない。

 このため、中国製を輸入・販売する各社は、日本市場で求められる高い品質と安全性を確保するために、さまざまな工夫をしている。

 例えば、テラモーターズは生産時に日本人スタッフが調達した部品を使用。輸入の際には全数検査を行い、品質を確保している。スクーテックジャパンは設計を日本で行い、中国メーカーが生産した完成品を輸入後に分解、日本で組み立て直している。その他のメーカーも全数検査を実施するなど、品質の確保には気を遣っている。

東日本大震災では、各社が電動スクーターを提供し、被災者の移動に活用された(画像クリックで拡大)

家電感覚で電動スクーターを販売する量販店も増えてきた(画像クリックで拡大)