日経トレンディ

 この記事は2011年6月4日発売の「日経トレンディ7月号」から転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 コンセントを抜き、待機電力を減らすだけでは、たかが知れている。家庭の消費電力を減らすためには、利用時間が長く、消費電力の大きい電化製品の使い方そのものを変える必要がある。

 家電のなかでも最も消費電力が大きいエアコン。節電の余地も大きいが、常識として知られている節電術は意外に間違いが多い。

上位4つの機器だけで、7割の電力を消費

注)資源エネルギー庁「平成16年度電力需給の概要(平成15年度推定実績)」をもとに作成(画像クリックで拡大)

 例えば風の強さ。省エネを意識して、風量自動ではなくあえて弱風で使いがちだが、これは間違いだ。立ち上げ直後から弱風で使っていると、室温が設定温度に下がるまでに時間がかかってしまい、トータルの消費電力量は大きくなる。強い風で冷気を効率よく循環させ、部屋全体の温度を早く下げることで、1分でも早く消費電力の小さい安定運転状態に移行させるほうが効率的だ。部屋が十分に冷えた段階で弱風に切り替えればよい。

「除湿モードは省エネ」という考えも間違い。正確には、昔のエアコンでは確かに省エネだったが、最近のエアコンでは必ずしも省エネにならない。

 最近のエアコンは、「再熱除湿」か「弱冷房除湿」、どちらかの除湿機能を採用している(上級機種では両方に対応するものもある)。再熱除湿は室温を下げずに効率よく除湿できるので、寒がりな人には快適だが、空気の冷却と加熱を同時に行う方式のため、エアコンの負荷が大きい。消費電力は冷房運転のピーク時よりも少ないものの、フル駆動の時間が長く続くと冷房運転よりも消費電力は大きくなってしまう。もう一方の弱冷房除湿は、その名の通り弱い冷房運転で除湿をするだけなので、設定温度が高めの冷房運転に比べて省エネの面での優位性はない。

◆エアコン

熱交換の効率を上げるため

室外機を冷やす

(画像クリックで拡大)

 冷房の基本は「熱交換」。熱をいかに効率よく排出するかが重要で、室外機の温度が上がりすぎると低効率に。直射日光に当たっている場合は日よけを設置する。水をかけてもいいが、故障の原因になる場合がある。

立ち上げてからしばらくは

「強風」のほうが省エネ

 強い風で室内の空気を循環させたほうが空調効率が上がり、設定温度への到達が早くなって、消費電力の少ない安定状態への移行も早くなる。ただし、安定状態になった後は、送風ファンの消費電力を節約できる弱風モードのほうが省エネになる。

ここ数年のエアコンは自動モードが最も省エネ設計。風量も省エネを意識して最適化されるため、風量調整ボタンはリモコンの目立つ位置にはない(画像クリックで拡大)

冷房時の風向きは

できるだけ水平に

 エアコンは室内機の空気取り込み口付近で室温を測る。送風口(ルーバー)が下に向いていると、冷気が床付近にたまってしまい、室温が正確に検知できない。

冷気は上向きに出すのが理想だが、特許の関係で上向き冷房ができるのはシャープだけ(画像クリックで拡大)

暑ければ素直に冷房に切り替え

除湿モードは使わない

再熱除湿はエアコン内部の熱交換器(写真)に冷却と加熱の両方のパワーを加えるため、負荷が大きい(画像クリックで拡大)

 エアコンの除湿機能には、「再熱除湿」と「弱冷房除湿」の2種類がある。このうち再熱除湿は、室内の空気を冷却・結露させて排水する作業と、逆に空気を暖めて冷えすぎないようにする作業を同時に行う、複雑な方式。除湿効率は高いが、消費電力は少なくない。弱冷房除湿はその名の通り、弱い冷房運転を行うだけのモード。室内がある程度の温度まで冷えると除湿効果はなくなる。なお、「除湿のほうが省エネ」というのは駆動方式の違う昔のエアコンの常識。

■最新のエアコンは多くが「再熱除湿」
再熱除湿 内部で発熱と冷却を同時に行い、効率よく除湿する
消費電力が大きい
弱冷房除湿 弱めの冷房で除湿。効果は再熱除湿に劣る
消費電力は冷房と同等