※この記事は日経エンタテインメント!(5月号)の記事を転載したものです。購入はこちら

 「音楽ソフトが売れない」とされる一方で、AKB48やK-POPのセールスが好調なのはなぜ? 丸山茂雄氏が音楽ビジネスの変化を読み解く。

 CDに生写真やイベント入場券などの特典を封入して複数買いに導く、いわゆる「AKB商法」が成功し、アニソンのイベントでは物販会場が大きなスペースを占める。さらに、マスコミの手を借りずにライブチケットを完売させるK-POPグループが登場するなど、今、音楽業界では商品の売れ方に大きな変化が生じている。こうした現状を、音楽業界のスペシャリストはどう分析するのか。

 ソニー・ミュージックで音楽産業を引っ張り、現在は247Musicで音楽のネット配信を積極展開。K-POP業界にもアドバイスを送っている丸山茂雄氏に話を聞いた。

 この10年、音楽ソフトがどんどん売れなくなっていますよね。その原因は、レコード会社が良い曲を生み出せないからだと、僕はずっと思っていたんです。でも「もう現役を退いたんだから、移住した沖縄で、のんびりやらせてもらうよ」って見てました(笑)。

 しかし、この10年、スティーブ・ジョブズのiPod、iTunesや、グーグルなど新興メディアが隆盛。一方で、中国市場も拡大し、K-POPもアジアからザワザワしてきた。なぜ日本は厳しいのに、アジアでは音楽が盛り上がっているのか、不思議に思っていました。

 結論としては、日本以外のアジアでは、もはや音楽が著作権フリーなのが当たり前ってことです。日本から見ればルール違反ですよ。でも、中国や韓国にはもともと著作権ビジネスが無かったわけです。レコードビジネスがないんですから、韓国企業も、CDを売ってビジネスをしようとは考えない。だから、「ウチの曲はプロモーションでお使いください」とばかり、新譜の段階でPVを無料でネットで流してしまう。つまり、アジアでレコード会社が真面目に著作権ビジネスをやってるのは、日本だけってことです。

 日本も終戦直後は著作権無視の状況でした。でも進駐軍の指導で、米国の音楽を演奏するときには知財のルールをきちんと守るように指導された。だから日本は、世界で最も著作権を守る国になったんです。