野菜で「機能性」をうたうのは難しい
“キャラクター化”で認知拡大狙う

 タキイ種苗は2010年、「こどもピーマン」やタマネギ「TTA-735」を含む機能性野菜シリーズ「ファイトリッチ」を発表した。ファイトは植物、リッチは従来品種よりも機能性成分が豊富という意味だという。

 このシリーズを周知・浸透させるにあたって、障壁になると見られるのが成分表示の問題だ。仮に特定の機能性成分が従来品種より10%多いとしても、野菜は工業製品のように均一に生産できないため、生産したすべての野菜が10%高いとはいえない。その都度、検査に出すのも非現実的だ。大手小売店ほどこうした玉虫色の表現を敬遠するため、店頭で機能性野菜であることをうたわない可能性が高い。しかし、機能について触れなければ、ファイトリッチシリーズの魅力は伝えられないだろう。

 「そのあたりはもちろん織り込み済みです。ただ、一般消費者の機能性成分に対する潜在的ニーズは高いので、当社としてはまず健康への関心が高い方々にファイトリッチを試していただいて、そこから徐々に市場を広げていけたらと考えています。(機能性成分を引き出せるように)生産者には栽培のガイドラインを提供し、生産を支援していきます。販路としては消費者との接点を持ちやすい道の駅や直売所などが向くと見ています」(六角氏)

 トキタ種苗でも野菜で新しい価値を提案しようと、3年前にミニトマトのシリーズ「栄養戦隊サプリガールズ」を立ち上げた。ラインアップはカロテンが豊富な「カロちゃん」、緑色のままで完熟する「ミドリちゃん」など8品種。開発にあたっては「10個20個のミニトマトを試食したときに、もう一度食べたいと選んでもらえる品種」(中野氏)を目指した。“栄養戦隊”と銘打つだけあって機能性成分を強化した品種もあるが、マーケティングではそれを全面に押し出さない。むしろ、キャラクターや色とりどりのトマトのかわいらしさを強調する。サプリガールズの種苗は家庭菜園用に販売するほか、一部プロの生産者も栽培に取り組んでいる。

中心に3つ並んでいるのが「トマトベリー」。中央上の楕円型のトマトがうまみ成分であるアミノ酸を豊富に含んだ「アミちゃん」。以下、時計回りに、ピンク色の皮色があざやかな「モモちゃん」、インパクトある栗色の「チョコちゃん」、フルーティな甘さの「ミキちゃん」、完熟しても薄緑色の「ミドリちゃん」、カロテンたっぷりの「カロちゃん」、リコピンが豊富な「リコちゃん」、すっきりした甘さの「キリちゃん」(画像クリックで拡大)

 一方、シリーズの原点とも言うべきトマトベリーは、将来的な海外展開も検討している戦略アイテムだ。同社ではトマトベリーを末長く親しまれる品種に育てようと、ブランディングを進める。粗悪品が出回ればイメージダウンにつながるため、プロ用の種子は栽培指導などのフォローができる生産者にのみ販売し、全生産者を把握しているという徹底ぶりだ。

 「トマトベリーは一般的なミニトマトと比べてどうしても小売価格が高くなり、通常の販売ルートでは売りにくいので、当社では販路開拓も含めて生産者をサポートしています。これまでにレストランやカフェ、製菓メーカーなどを新規開拓してきました。変わった販売形態としては、関東のある生産者の方が自社で経営する薬局でトマトベリーを販売しています。店頭で機能性成分をうたうことはできませんが、ヘルシーなイメージのトマトベリーと薬局は相性が良いのでは」(トキタ種苗 開発普及室 三堂地香氏)