日経トレンディ

 この記事は2010年12月29日発売の日経トレンディ2月号特集「あったか衣料最前線」の一部を転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 「ヒートテック」の発売以降、温かさを追求した衣料品を各社が投入。特に「吸湿発熱」をキーワードにした肌着は大手スーパーの定番商品となっている。実際にどれだけ温かいのか、その効果を明らかにする。

 2月下旬ぐらいまでが、寒さのピーク。この期間をできるだけ温かく過ごしたい。

 温かい衣類といえば、ダウンジャケットや手袋、ブーツなどが定番。さらに徹底すればスキーウエアのような構造の衣類になる。ただし、こうした構造を持つ衣類は「着膨れ」状態になりやすく、ファッション性を求めにくい。

 そこで登場したのが、薄くても温かいという機能を追求したユニクロの「ヒートテック」などの肌着だ。今では、イオンの「ヒートファクト」やイトーヨーカ堂の「ボディヒーター」など、多くのスーパーが似たような効果を持つ肌着をPB商品として展開している。今冬はこのトレンドが、ジーンズにまで拡大。先行していたエドウインに続き、ユニクロが「ヒートテックジーンズ」の発売を開始した。

 これらは主に2つの特徴を持っている。一つが薄い素材を使いながら、ぴったりと体にフィットさせることで、暖められた空気を保ちやすい構造を持つこと。もう一つが、人体から出る湿気を熱に変えるという「吸湿発熱」という機能だ。

 これらの衣類のパッケージに大きく表示されている「吸湿発熱」は、実際にはどのような機能なのか。

 水が蒸発するときに周りの熱を奪う現象が起こる。これが「気化熱」だ。夏に打ち水をするとひんやりするのは、気化熱の効果だ。その逆の作用が、水蒸気が水に変わるときに、周りに熱を放出する「凝縮熱」。吸湿発熱はこの作用を利用したもので、人体から発せられる汗などの湿気を取り込み、これを水に変えると同時に熱を発生させる。この熱が温かさと感じられるのだ。

 吸湿発熱素材は、一般的な化学繊維に比べて繊維が細く、表面積を増やしたものと考えればわかりやすい。表面積が増えればより湿気を取り込みやすくなり、熱も出やすいというわけだ。

【吸湿発熱の仕組み】

吸湿発熱は、水蒸気が水に変化するときに周りに温度を放出する「凝縮熱」を利用した機能。人間は常に汗などの湿気を発しているため、それを吸収することで熱を発生させる

 

【吸湿発熱素材とは?】

吸湿発熱素材は、一般的な化学繊維より細い繊維にすることで、全体の表面積を増やして吸湿性能を高めている(写真はエドウインが利用する旭化成の「Thermogear」)(画像クリックで拡大)