忘年会、クリスマス、お正月と、楽しいイベントが盛りだくさんの年末年始が終われば、あの“憂うつな季節”がやってくる。いまや日本人の5人に1人が苦しんでいると言われる“花粉症の季節”だ。

 しかも、ウェザーニューズ(東京都港区)の2010年10月の発表によると、2011年のスギ花粉は、前年に比べて、全国的に5倍、関東では7~8倍、近畿では10倍の量が飛散し、過去に大飛散が観測された1995年や2005年と同等か、それ以上の可能性もあると予測されている。

 毎年、激しい咳やくしゃみ、不快な目のかゆみや倦怠感などに打ちのめられている花粉症の人間にとって、過去最大級のスギ花粉が飛散するらしい来年の春を思うと、すっかりブルーになってしまう。

『せめて、スギ林の多い田舎には近づかないよう、できるだけ都会で過ごすしかないな』と考えていた矢先、そんな一縷(いちる)の望みさえもぶち壊す話が飛び込んできた。

 なんと、スギやヒノキの山林から遠く離れた“都会の花粉”は、“田舎の花粉”よりもひどい花粉症を引き起こすというのだ!

「アジュバント」で都会の花粉が凶暴化!

 なぜ、そんなことが起こるのか?

 理由は、“都会の花粉”に「アジュバント」と呼ばれる物質が付着・吸着するからだという。

“田舎の花粉”(撮影:山形大学医学部 白沢信行 准教授)(画像クリックで拡大)

ディーゼル粉塵粒子などアジュバント物質が付着した“都会の花粉”(画像クリックで拡大)

田舎のスギ花粉(左の写真)に比べて、都会の花粉(右の写真)には、花粉以外の物質が多く付着している。これが「アジュバント」と呼ばれる物質だ。

 確かに、見た目は、アジュバントと呼ばれる物質をいろいろくっつけた“都会の花粉”の方が、どことなくヤバそうに見える。

 でも、こんな小さな物質をくっつけたからといって、本当に“都会の花粉”の方が“田舎の花粉”より花粉症の症状をひどくしたりするのだろうか。

 早速、花粉症を含めて、アレルギー疾患の研究に長年携わっている医学博士、国立環境研究所 環境健康研究領域の高野裕久 領域長に話を聞いた。

筑波大学大学院教授も務める独立行政法人国立環境研究所環境健康研究領域の高野裕久領域長。

 「花粉症と同じく、アレルギー性疾患の1つである『喘息』に関する動物実験が行われています。アジュバント物質の代表格であるディーゼル排気微粒子(DEP)、いわゆるディーゼル粉塵をアレルゲンと一緒に与えると、与えない場合に比べて、喘息の症状が出る際に認められる炎症細胞の数が7、8倍に増えます。指標となる物質によっては、約20倍に増えるものもあります。ですから『アジュバントはアレルギー反応を10倍、20倍に悪くする』という表現は、まちがいではありません」

 動物実験においては、すでにアジュバントが花粉症などのアレルギー疾患をひどくすることが確認されていたのである。