日経トレンディ

 この記事は2010年12月4日発売の「日経トレンディ1月号」から転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 東京駅と羽田空港では再開発や拡張工事により、次々と商業施設が誕生し、定番を狙う新しいみやげ物が発売されている。最新動向を探るとともに、2010年の売れ筋商品の実力をチェックした。

 東京の2大表玄関である東京駅と羽田空港は、みやげ物業界が最も注目する場所でもある。「東京駅ほど坪効率の良い売り場はない」と複数の関係者が指摘する通り、まず単純に売り上げ規模が大きい。日本各地へみやげ物として運ばれることで、ブランド価値や知名度が高まるシャワー効果もある。「東京駅と羽田空港で売っていること自体がステータス」(JR東日本リテールネット専門店営業部ギフト課の金子充義担当課長)といわれるゆえんだ。

 さらに近年、両者とも施設の再開発により存在価値がさらに高まっている。

 羽田空港には2010年10月、新国際ターミナルビルが完成。第2ターミナルビルの増床工事も完了した。

 東京駅も07年秋に、東京ステーションシティの第1期として八重洲口に超高層ビルのグラントウキョウ ノースタワーが完成。駅ナカの地下1階にグランスタがオープンした。2010年3月には、エキュート東京が営業を開始するなど、今も再開発中だ。

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 これらの施設には、注目度の高い店舗が続々と入店する。いわば東京駅と羽田空港で、新たな東京みやげが次々に誕生しているのだ。両者での売れ筋を見ると、最新動向や消費者心理がくっきりと浮かび上がる。

 「08年のリーマンショック以降、売れる手みやげの傾向が変わった」と話すのは羽田エアポートエンタープライズ業務課の三浦久恵副課長。世界的な金融危機を契機に、客単価が下がったと関係者は口をそろえる。個人も法人も、手みやげに金を使えなくなったことが大きな要因だ。

 そこで売れているのが、中身の個数を減らし、価格を下げた小分け商品。必要な量だけ買え、同じ金額でさまざまな種類を購入できる。贈り先で配りやすい利点もある。500円前後の商品は、もはや定番に育っている。

 小分け商品は、簡易包装が好まれ始めたトレンドとも合致した。高級感のある紙箱入りよりも、中身の見える透明な容器に入った商品が売れている。景気が上向かないなか、過剰な包装は逆に相手に気を使わせてしまうという心理が働いた結果だという。

 小分けできる商品として注目度が高まっているのが、ラスクやかりんとうなど、昔からある伝統的な菓子だ。フレーバーの数を増やしたり包装に工夫を凝らすことで、現代風にアレンジした商品が売れ筋になっている。

 小分け化

少個数商品を複数買いして分配
気を使わせない簡易包装も人気

 中身の個数を減らし、500円程度に価格を抑えた商品が定番化。そのまま分けて配れる簡便さに加えて、女性には自分なりの組み合わせを作れる楽しさが受けている。パッケージデザインも重要で、紙箱にはない特徴を出せた商品が売れ筋だ。

「東京ばな奈」など定番商品も小分けバージョンを発売。簡易包装は、贈る相手に気を使わせないという理由で人気(画像クリックで拡大)

 

 伝統菓子の復活

昔ながらの菓子があっさり味に
東京駅では“かりんとう戦争”も

 東京駅のグランスタに出店したかりんとう専門店の日本橋錦豊琳は、連日行列ができるほど盛況。しばらく一人勝ちが続いていたが、2010年9月に大丸東京店に麻布かりんとが出店。こちらも客が列をなす人気で、駅のナカとソトで熱い戦いとなっている。

東京駅一番街に店を構える東京ラスク(画像クリックで拡大)

日本橋錦豊琳のかりんとう。両者とも日持ちすることも人気の一因(画像クリックで拡大)