映画『アバター』生まれの技術が注目の的

 新しいCG技術を利用する産業の筆頭格は、映画産業だ。「特に2009年から2010年にかけて、CG研究の世界的な潮流は、大ヒットした映画『アバター』の影響が色濃い」(稲蔭教授)という。SIGGRAPH Asiaにおいて、最先端CG研究論文が提出される「テクニカル・ペーパー」というセッションでも、『アバター』で高次元の技術的な融合を見せたモーション・キャプチャー関連技術に注目が集まっている。

 独マックス・プラント研究所などによる研究「Video-Based Reconstruction of Animatable Human Characters」などはその良い例だ(写真)。ビデオで撮影した実物の俳優の演技を、"バーチャル・ダブル"と呼ばれるCG俳優にキャプチャーさせる最新技術。CGキャラクター自身の動きや身にまとっている衣服は、すべて物理計算でシミュレーションし、実物と同じ動きを再現できる。

 3D立体視(Stereoscopic 3D:S3D)に関する発表も目立つ。米カリフォルニア州立大学らによる「Stereoscopic 3D Copy & Paste」というS3Dの研究発表があるほか、米オートデスク社による出展者セッションでは、S3D映画などの作品制作の各パートで必要とされる技術に関するプレゼンテーションなどもあり、『アバター』に代表されるS3D映画に関する最新技術情報も入手できる。

 映画関連のセッションとして興味深いのは、ジョージ・ルーカス監督の映像スタジオの1つであるLucasfilm Singapore社のテクニカル・トークだ。同スタジオは『スター・ウォーズ』シリーズのテレビアニメ『Clone Wars』(クローン・ウォーズ)を制作したスタジオでも有名で、米Lucasfilmとの制作体制や技術共有など、全世界レベルでの制作工程に関する講演が行われる。なかなか聞くことができない貴重なセッションの1つだと言えよう。