富士フイルムは2010年9月21日、レンズ一体型デジカメ「FinePix X100」の開発を発表した。ドイツで2010年9月21日(現地時間)から開催中の写真機器展示会「フォトキナ」での発表を受け、国内でも正式に開発がアナウンスされたもの。国内では2011年春発売予定で、価格は未定。

 APS-C型の大型撮像素子と明るい単焦点レンズを組み合わせた新シリーズのデジタルカメラ。本体はレンジファインダーカメラに似たクラシックテイストで、35mm判換算で35mm相当(開放F値はF2.0)の単焦点レンズを装備する。レンズは固定式で、交換はできない。

富士フイルムが発表した高級デジカメ「FinePix X100」。大型の撮像素子と明るいレンズで画質を追求しつつ、光学ファインダーと電子ビューファインダーのメリットを両方とも受けられる独自機構のファインダーを装備。レンジファインダーカメラを思わせるクラシック風なデザインは、古くからの写真ファンのみならず、“カメラ女子”にも高く支持されそうだ(画像クリックで拡大)

中央に鎮座する液晶モニターや周囲のボタン類が、デジタルカメラであることをアピールする。液晶モニターのサイズや画素数などの細かなスペックは明らかにされていない(画像クリックで拡大)

 撮像素子はAPS-C型の1230万画素CMOSセンサーで、一般向けのデジタル一眼レフカメラと同じサイズだ。撮像素子の表面にある集光用マイクロレンズの形状や位置を工夫し、周辺部での光量低下を防いでいるという。

撮像素子は独自開発のAPS-C型CMOSセンサー。光の入射角がきつくなる周辺部では、マイクロレンズの位置を通常よりもわずかにずらすことで、素子により多くの光が届くよう工夫している(図版は富士フイルム提供)

 特徴的なのがファインダーだ。ファインダーの内部に144万ドットの高精細液晶パネルを配置し、光学ファインダーと液晶ビューファインダーを切り替えて利用できる「ハイブリッドビューファインダー」を備えたのがポイント。光学ファインダーでは、ファインダーを通して見たままの像を確認しながら撮影できる。液晶ビューファインダーに切り替えれば、ホワイトバランスや露出などの効果を反映させたうえ、絞りによる被写界深度の変化を確認しながら撮影できるようになる。

 光学ファインダーを通しての撮影では像が精細なため、ピントをしっかり確認しながら撮影できる。だが、ファインダー像と実際に撮影できる像にズレ(パララックス)が生じてしまうのが欠点だ。撮像素子からの情報を表示する液晶ビューファインダーならば、パララックスは生じない。だが、限られた画素数の液晶パネルで表示するため光学ファインダーと比べて像は粗くなり、マニュアルフォーカスでの正確なピント合わせは難しくなる。それぞれのファインダーでメリットとデメリットがあるわけだが、本機ならばシーンに合わせて切り替えることで、メリットだけを生かした撮影ができるわけだ。

光学ファインダーと液晶ビューファインダーのいいとこ取りが可能になった「ハイブリッドビューファインダー」。同一のファインダー窓から、2種類の表示方法を切り替えて撮影できる(図版は富士フイルム提供)

 本体の底面と天面はマグネシウム合金で、シャッター速度と絞りのダイヤルは金属部品で作られている。前面や背面にはレザー調のシボ付きパネルが張られており、ホールド感を確保しつつシックな印象を高めている。

電源がオフの状態でも確認できるシャッター速度ダイヤルと露出補正ダイヤルを備える。天面の軍艦部やダイヤル類は金属製ということで、かつてのフィルムカメラのように使い込むごとに味わいが増しそうだ。黒いFnボタンは、フィルムの残り枚数が表示される小窓を思わせる(画像クリックで拡大)

 連写速度や動画撮影機能の有無など、細かなスペックは明らかにされていない。2011年2月9日から横浜で開催される写真機器の展示会「CP+ 2011」にて詳細が明らかになるだろう。

 デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼とも違う魅力を備えた高画質デジタルカメラとして、かつてのフィルムカメラのように1枚1枚の撮影をじっくり楽しみたい往年の写真ファンを中心に大きな話題を呼びそうだ。

(文/磯 修=日経トレンディネット)