日経トレンディ

2010年9月4日発売の日経トレンディ10月号では「主役はこれだ!次世代AV」と題し、3Dやネットに対応したテレビ、新世代のカメラ、iPadのライバルとなるタブレット端末などの各種AV関連商品の最新動向を読み解いている。3Dテレビを考える際に避けて通れないのは「コンテンツがどうなるか」だ。

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 3Dテレビが発売され、「3D元年」といわれる今年。まだ数が多いとはいえないが、さまざまなコンテンツを3Dで制作する動きが広がっている。

 現在、スカパー!HDなど有料放送で視聴できる3Dコンテンツはスポーツ中継、音楽ライブが中心。ブルーレイ3Dなどのパッケージソフトでは、アニメ、映画、グラビアイメージビデオなどが発売されていく予定だ。また、業界内では「3D普及のためにはアダルトソフトが欠かせない」との声も少なくない。

 果たして、3Dならではのコンテンツとは何なのだろうか。コンテンツのジャンルごとに3Dの良しあしを分析してみた。

【スポーツ中継】サッカーは不向き? カギは「箱庭効果」

 現状、3D放送のコンテンツとして最有力視されているのがスポーツ中継だ。3D映像の魅力は、奥行きのある映像から感じられる臨場感。まるでスタジアムで観戦しているような気分が味わえるといわれるからだ。

 実際、日本で唯一3D専門チャンネルを持ち、3Dコンテンツを最も長い時間放送しているスカパー!HDは、サッカー中継を主力コンテンツに据えている。6月にサッカーW杯中継を行ったほか、現在はJリーグ中継を原則、毎週1試合放送している。

 ただ実際に中継を見た人に話を聞くと、「スタンドの観客を映したシーンが印象的だった」「試合終了後の紙吹雪がきれいだった」など、試合そのものではない映像を評価する声が多く聞かれた。なぜか。

 理由は「箱庭効果」にある。サッカー中継では、試合の状況をわかりやすく伝えるため、上からグラウンド全体を俯瞰するような映像を多用する。しかしこういった引きの映像では、立体感が付きにくく、むしろ「箱庭で試合をしているように見え、迫力に欠ける」(立体映像ジャーナリストの大口孝之氏)というのだ。

 サッカーではないが、5月にラグビーを3Dで中継したJ:COMグループのジェイ・スポーツ・ブロードキャスティングでは、「2回テスト撮影をした結果、カメラの位置をグラウンドに近い高さに下げた」と明かす。「3D撮影は、人間の目と基本的に同じ。グラウンドが間近な席ほど人気があるが、カメラのベストポジションも同じになる」(ジェイ・スポーツ)

 同様のことは、野球中継にもいえる。日本テレビが制作した巨人戦の3D中継では、普段の中継では使われない、バックネット裏からの映像が多用された。このカメラアングルだと、ピッチャーが投げた球が画面の手前に飛んできて、迫力があるからだ。

 このように、カメラアングルによって、3Dに向くスポーツと向かないスポーツがあるようだ。

 3Dへの向き不向きという点では、試合時間も大きく影響する。というのも、3D映像は体への負担が大きいといわれており、適度に休息をとったほうがいいとされているからだ。

 そういった意味でも、前半、後半それぞれ45分試合が続くサッカーは3D向きではない、との声が聞かれる。一方野球は、試合時間こそ長いが、イニング毎に小休止があるので、体への負担は少ないのでは、と話す関係者もいる。

 そして、引きの映像が少なく、試合時間が短いという、3D向きの2つの要素を兼ね備えているとされるのが、格闘技だ。人物の位置の入れ替わりが激しい点も、3Dの魅力を引き出す要素となりそうだ。