日経トレンディ

 この記事は2010年8月4日発売の「日経トレンディ9月号」から転載したものです。情報は基本的に発売時点のものとなります。

 ミネラルウォーターや茶系飲料の苦戦を尻目に、炭酸飲料が市場を席巻。牽引役は“ゼロ系”だ。さらなるシェア拡大を狙い、今夏は大人向け炭酸飲料の発売ラッシュ。各社の狙いと炭酸ブームの深層を探った。

 飲料業界に異変が起きている。大手飲料メーカー各社が、“大人の炭酸”を相次いで発売しているのだ。なぜ今、炭酸飲料で大人需要を狙うのか。

 ポイントは4つある。まず、糖類あるいはカロリーをゼロにした“ゼロ系炭酸”のヒットにより、炭酸飲料が「健康に悪くない」イメージを獲得したこと。次に、炭酸は家庭で作れない飲料であること。3つ目は、炭酸の刺激が金を払う価値があると感じさせること。これは味付け、量にインパクトや食べ応えがあり、メガ盛り系メニューや濃い味の菓子類がヒットしているのと同様の傾向だろう。そして4つ目は、懐かしさゆえに炭酸飲料を手にする世代の人数が、若年層をはるかに上回っていることだ。今や、炭酸ユーザーのボリュームゾーンは20〜30代なのである。

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 そもそも炭酸飲料市場は06年ごろから、健康志向の高まりとともに規模が大幅に縮小。シェアを握ったのは、ミネラルウォーターや茶系飲料だった。ところが、消費不況となった昨今、家で作れる飲料の売り上げは激減。一方で20代以上がゼロ系炭酸ユーザーとして加わった炭酸飲料は、低迷を続ける清涼飲料市場で唯一、伸びを見せる。

 ゼロ系炭酸ブームの立役者となったのは、07年に発売された「コカ・コーラ ゼロ」(日本コカ・コーラ)だ。06年発売の「ペプシネックス」(サントリー食品)とともに市場を拡大。さらに09年、「三ツ矢サイダー オールゼロ」(アサヒ飲料)の大ヒットがゼロ系炭酸を定着へと導いた。

[ 炭酸飲料ヒットのキーワード ]

【ゼロ系】【機能性】【定番・懐かしい】

 昨年、炭酸飲料を“ゼロ系”にすることがヒットの定石となった。今年は、それに機能性を付加して、より健康面などをアピール。不景気で安心感を求める消費者心理を狙い、定番ブランドの活用やリバイバル商品の投入が相次いでいる。

昨年までにヒットした“ゼロ系炭酸”。左からコカ・コーラ ゼロ、三ツ矢サイダー オールゼロ、C.C.レモンゼロ(サントリー)

注)コカ・コーラ ゼロ、C.C.レモンゼロ、三ツ矢サイダー オールゼロの写真は発売当時のパッケージ