チャイルドシートを助手席に設置する人が2割以上!?

 国立保健医療学院 生涯保健部 行動科学室室長の藤原武男氏によると、「チャイルドシート着用が義務化された前後で、乳幼児の死亡率は有意に減少していない」という。つまり、乳幼児の交通事故による死亡を防ぐために法律で義務化したにもかかわらず、期待された成果が得られていないのが実情だ。

 その原因として、藤原室長は「チャイルドシートを使用していないか、あるいは正しく装着していないことが挙げられる」と話す。その仮説を実証するデータが図2~図4である。

 図2の警視庁と日本自動車連盟の調査結果をみると、1999年に15.1%だった着用率は2001年に44.3%、2002年に52.4%と大幅上昇したものの、10年間ほぼ横ばいで推移。2010年も6割を切っている。

図2は警視庁と日本自動車連盟(JAF)調べ(画像クリックで拡大)

 さらに、図3(アップリカ・チルドレンズプロダクツ調べ)をみると、「乗車時に必ずチャイルドシートを使用する人はわずか39.7%。6割は使用しないことがある」と答えている。使用しない理由は「赤ちゃんが激しく泣くから」(1位)、「赤ちゃんが嫌がるから」(2位)、「同乗者がいて赤ちゃんを抱いてくれるから」(3位)など。この結果から「赤ちゃんがかわいそう、同乗者が抱けば問題ないと考えている親がかなり多いことも浮き彫りになった」(藤原室長)。

国立保健医療科学院 生涯保健部 行動科学室の藤原武男室長

 チャイルドシートは本来、後部席に設置しないといけない。しかし、正しく装着できていない人は意外と多いという。図4をみると、助手席に設置していた人はチャイルドシート使用者の25.5%にものぼる。一方、安全な後部席に設置していた人は全体の半数にも満たない。さらに、車両へのチャイルドシートの取り付け方が間違っている割合は全体の63.5%、座らせ方が間違っている割合も4割にのぼる。

 「つまり、赤ちゃんを正しく安全にチャイルドシートに乗せている人は全体のたった2割。助手席に設置するなんて、北米では自殺行為に近い」と、藤原室長はチャイルドシートに対する日本人の認識の甘さを訴える。警察庁によると、チャイルドシートを使用していない人の死亡重傷率は、使用している人の約2.7倍。正しく使用していない場合の死亡重傷率は、正しく使用した場合の約7.1倍という結果も報告されている。

図3はアップリカ・チルドレンズプロダクツ調べ(画像クリックで拡大)

(画像クリックで拡大)

図4(画像クリックで拡大)