マイクロフォーサーズ規格のデジタル一眼は、レンズ交換式デジタル一眼のジャンルでシェアを高めつつある。小型・軽量ボディーのメリットが生かせる薄型パンケーキレンズとの組み合わせが主流だが、せっかくのレンズ交換式カメラなのにずっと同じレンズを使っているのは面白くない。

 今年に入り、撮影の幅を大きく広げるマイクロフォーサーズ用交換レンズが各社から続々と登場している。夏から秋のレジャーシーズンにあると便利な最新交換レンズ2本の実力を検証していこう。前回の高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」に続き、今回は標準ズームやパンケーキレンズでは味わえない独特な描写が楽しめる広角ズームレンズを取り上げよう。

オリンパスイメージング
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
実売価格:5万3800円
発売日:2010年4月23日
35mm判換算の焦点距離 18-36mm相当
最短撮影距離 25cm
フィルター
サイズ
52mm
重量 約155g

 マイクロフォーサーズ規格のデジタル一眼は、一眼レフカメラに必要なミラーをなくすことでボディーの大幅な小型化と薄型化を図っている。ボディーだけでなく、レンズもコンパクトな設計にできるのが見逃せない特徴だ。マウントから撮像素子までの距離が短くなることで、特に広角レンズが小さく設計できる。

 パナソニックが2009年4月に発売した「LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.」(実売価格は8万8000円前後)は、35mm判換算で14~28mm相当の広い画角を持つ広角ズームレンズだ。これほどの広角レンズながらレンズはコンパクトに収まっていて、しかも描写力はかなりのもの。マイクロフォーサーズの特徴を生かしたレンズとして、高い評価を受けてきた。

 約1年遅れで、オリンパスイメージングからも広角ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」(実売価格は5万3000円前後)が登場した。同社は、フォーサーズ用として同等スペックの「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」(実売価格は5万3000円前後)を発売しているが、サイズを大幅にコンパクト化している。

 2倍ズームというスペックだけを見ると物足りなさを感じるかもしれないが、超広角レンズの画角変化はかなり大きい。このレンズ1本だけでも、さまざまなバリエーションを付けた写真が撮影できる。

オリンパスイメージングのマイクロフォーサーズ用広角ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」。広角レンズにしては前玉が小さくフラットで、標準ズームレンズのようなコンパクトさに驚かされる(画像クリックで拡大)

 このレンズの大きな特徴は、大きさと重さが他の広角ズームレンズと比べて圧倒的にコンパクトなことにある。155gという重さは、前述のフォーサーズ用の9-18mmと比べて120gも軽い。パナソニックの7-14mmと比べると、145gも軽い。画角も開放F値も違うため単純に比較はできないが、ほぼ半分近い軽さなのには驚かされる。

 パナソニックの7-14mmは、超広角レンズでよく見られる大きく湾曲した前玉と固定式の花形フードが組み合わされている。オリンパスイメージングの9-18mmはほぼ平面に見える前玉で、パナソニックのレンズでは使えないフィルターも装着できる。

オリンパスイメージングの「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」。広角ズームとは思えないコンパクトさで、同社の標準ズームレンズのようなフォルムだ。オプションで角形フードが用意される。実売価格は5万3800円前後(画像クリックで拡大)

パナソニックの超広角ズームレンズ「LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.」。このスペックのレンズとしては驚くほどコンパクトな設計だが、左の9-18mmと比べると大きさを感じさせる。レンズ面の保護を兼ねる花形フードは一体型で取り外しできない。実売価格は8万8000円前後(画像クリックで拡大)

 レンズの全長もかなり短い。同社の標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」と同じように、ズームリングを回すことで未使用時はコンパクトに収納できる沈胴機構を採用しているからだ。その代わり、使用時はレンズを大きく繰り出す必要があり、全長は倍ぐらいに伸びる。

 標準ズームレンズを付けたオリンパス・ペンを使っていた時も感じたが、せっかくなら本体の電源とレンズの繰り出しを連動できれば便利なのにと思う。とっさの際にズームリングを回してレンズを繰り出せば即座に撮影状態に入れ、スナップ撮影などで効果的だと感じる。

 本レンズのもう1つの特徴は、オートフォーカス(AF)の高速化と静音化が図られているということだ。14-42mmの標準ズームレンズでは、いかにも機械が動いているというAF駆動音が出る。動画撮影中はマイクがはっきりと音を拾ってしまうのが欠点だった。だが、9-18mmではギアを使わずにシャフトとスクリュードライブを使用し、ピント合わせに使うレンズを1枚に抑えている。これにより駆動音を抑えつつAFの高速化を図っている。

 この技術は「MSC(Movie and Still Compatible)機構」と呼ばれており、高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」にも搭載されている。これからは、この技術を使用したレンズが主流になると期待される。